そこまで期待はしていなかった一作だったりします。(すみません)
●実写版じゃないよ。アニメ映画版「君の膵臓をたべたい」の感想。
君の膵臓をたべたい
を観てきました。
公式サイト:https://kimisui-anime.com/
住野よるのデビュー小説を原作に昨年実写映画化しスマッシュヒットした“キミスイ”。
今度は劇場版アニメーションとして登場です。
アニメ「ワンパンマン」「ALL OUT!!」などに携わってきた牛嶋新一郎さんが初めて長編監督に挑みます。
実写版の方はDVDで観ておりまして、浜辺美波ちゃんの可愛さも含めて、かなり大好きな映画でした。
本作も楽しみにはしていましたが、実写版鑑賞済みで展開を一度なぞっている私が楽しめるのかどうかは心配でした。
ちなみに中国では今週末より実写版の公開がスタートです。ヒットして欲しいね。
本作を観てきた感想をざっくり一言でいうと
素敵。
という感じでかなり満足の一作でした。
もう少し詳しい感想を書いていきます。
●知っていてもやっぱり良い!キミスイという物語
根本的なストーリーの部分ではあるのですが、そもそも「君の膵臓をたべたい」というお話自体が良い!!
恋愛劇の装いながら、その実、今を生きる事を説く“良い話”。
実写版でも言えるのですが、大好きな人が死んじゃうだけのもっと軟派な泣き映画かと思いきや、そこにも一捻りがあるのがやられました。
実写版と話の大筋は変わらないとはいえ、私自身がプライベートで最近忙殺されがちだったこともあって、改めて本作のメッセージを実感し、日々の見え方が変わったりしてます。なんなら顛末は分かっているのにボロ泣きしている私がいますしね。いやぁホント良い話だよ。
原作未読なので、どちらが原作に寄せてるのかは分かりませんが(もしくはどちらも?)、実写版との決定的な違いは山場とラスト。・・・というか実写版はラストが山場ではあるのですが、今回のアニメ映画版は実写版に比べると落ち着きのある着地となっております。
その分、アニメ映画版だからこそ映える山場には、なるほど膝を打ちます。作品のメッセージとしても非常に意味のあるシーンを見せ場にもってきており、アニメ映画版はアニメ映画版で必見。ひとつの正解という感じで、まとまりの綺麗さでは実写版よりもアニメ映画版の方が好きでした。
あとアニメ版は演出的に「星の王子様」を事前に読んでおきたい一作。画像は「リトルプリンス星の王子様と私」。
●ビジュアルの素朴さにも意味が乗ってくるマジック!
恐れ多くも予告編など事前の情報で抱いていた悪い印象がひとつありまして、
ビジュアルが素朴すぎてどうもつまらないと思っていました。
ポップともまた違うし、美麗な感じでもない・・・その間をいくような画。
中途半端な感じを抱いておりました。
しかし改めて本編を観てみると、そこも狙ったのか狙ってないのかわからないですが、
じつは「君の膵臓をたべたい」と相性が良かったですね、この感じ。
アニメのビジュアルをハレの日とケの日で分けるとすれば、本作は明らかにケの日の画の方だと思うのですが、作品のメッセージとしては、そんなケの日の大事さを説く物語なので、むしろこのビジュアルでこそ描くべき物語なわけですよ。
つまらないと思っていたビジュアルの中で見つける、「あぁいいな」と思う瞬間。まさに、この映画で味わうべき感覚ですよね。
なんでもないようなことが、幸せだったとおもーう・・・♪
●「君の名は。」と同じようにすればヒットする!・・・わけでもなかった
あと思いっきり「君の名は。」リスペクトな映画でもありました。
本編の前には、オープニングムービーパートが用意されていたり、随所でsumikaさんの音楽をふんだんに使っていたりと、明らかに「君の名は。」の成功に倣っている部分がありました。実は夏休み明け間近のタイミングでの公開ということで、公開時期も「君の名は。」と同じだったりして、作品的にも興行的にもしっかり「君の名は。」ナイズされているわけです。
そこまでいやらしくは感じなかったのですが、それが活きてるかといえば、なんともいえないところが残念。
興行視点では興味深いですが、作品の良し悪しでいえば若干ノイズになってしまっている可能性は否めないです。
教訓的には「君の名は。」みたいにしたからって爆発的なヒットにつながるわけじゃないんだなぁということが本作の興行結果で明らかになったわけですな。ちょっと寂しい話ですけどね。
あと、ピンポイントで気になったのは「僕」役の高杉真宙さんの泣きの演技が、不自然だった・・・とかあります。
そんな感じで、
実写版を観ていた私でもそれなりに楽しめてしっかり感動してこれた素敵映画でした。
手堅くオススメな一本です!
みんなで膵臓たべよーぜ!
年末は臓器食べる系男子の映画も控えているしな。
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