【バケモノの子】の感想。細かい所に感動し細かい所が気になっちゃう歪みの映画 | アニメ映画情報ブログ【 ねじまき恋文のヤブレター 】

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夏休み映画の遅出しレビューがまだまだ続きます。

バケモノの子


バケモノの子
を見てきました。




ジブリなき今、次世代を背負うのは細田守なのか!?
という雰囲気もなくはない中でのスタジオ地図最新作。
私も細田監督のファンなので、楽しみにしておりました。





で、見てきた感想をざっくり言えば・・・




うーん

なんだか惜しい。





って感じでした。
諸手は上げない満足感って感じでした。
もう少し詳しい感想を書いていきます。





●役所広司さんってすげぇんだ!!

本作で感心したのが熊徹役の役所広司さん
私、今回は事前にあまり情報を入れずに鑑賞に挑みまして
役所さんが声優を務めているのを知りませんでした。

役所広司さん


冒頭から、「あーリリー・フランキーさんに、大泉洋さんねー」
ってのはすぐに分かったのですが
(下手ではなかったのですが本人と分かる分若干ノイズに)
役所さんはエンドロールで流れるまで気付かなかったので
映画が終わって、ビックリしちゃいました。

役所広司さんはアニメの吹き替え芸能人として
出演することがほとんどなく
「こんなにうまいんだ!」という感動がありました。
後述もしますが、今作は正直物語が歪なつくりな分、
熊徹の存在感が大きく支えになっていると感じました。
それもやっぱり役所さんの力あってこそだと思いました。
是非、役所さんが演じる
他のアニメキャラクターも見てみたいです。








●細かい演出のいいなぁ、によって際立つ粗めの演出

細田監督といえば細かくてうまい随所の演出
本作もいろんなところでそれを見ることができました。
時の変化の見せ方や、九太を青年声に変えるタイミング、
九太が楓を他の学生たちから救うシーンの見せ方など
今までの作品同様、
奇を衒った「うまい!」と言わせる演出だらけでした。
小道具としてしおり紐(スピン)を用いるところも
“留めておくもの”として、見事なモチーフを選んだなぁと
感心いたしました。
さすがです。


で、それだけだったら良かったのですが
今回、悪い意味で気になったところもいくつか
事前にこの点は聞いていて心構えはしていたのですが
猪王山と熊徹の対決で、“あの”キャラクターのダウン時
カウント数的にあの時点で負けなんじゃないかって問題
確かに私も納得できる不審っぷりでした。
あそこで少しでも立ち上がらせるなどダウン状態を
回避する演出が入っていても良かったのに・・・と思いました。

対決


また、クライマックスの戦闘シーンも
相手を倒すまでの流れについていけず
なんでこいつまでクジラになったの?
九太はなにをしようとしてるの?
ってところが急展開すぎて、
若干置いてけぼりにされた感じがしました。
「白鯨」を私は読んだことがないので
読んだら分かることなのかもしれませんが
読んでなくても、ニュアンスはつかめるぐらいの
バランスにして欲しかったです・・・。


白鯨
九太が読んでた本は実際にあります。


配慮が行き届いているところと
行き届いていないところが混在していたおかげで
最終的に歪な作品になってしまったように思います。







●改めて考える、「新冒険活劇」だったのか?

で、見終わって思うのが
本作のキャッチコピーである「新冒険活劇」というのは
適切なコピーだったのか?という点です。

確かに中盤、九太と熊徹たちが
強さを求め冒険に出るくだりは“冒険活劇”ではあったのですが
それは全体の中でも結構僅かなパート。
前半のほとんどは熊徹との修行をする化け物世界での生活体験。
後半は人間界との生活に揺れる真の居場所の模索。
映画の成分のほとんどは冒険に裂かれていなかったのですよ。

熊徹と九太


まあ、キャッチコピーなんて
集客のためのエッセンスだと思えば、
この程度の詐欺っぽさ問題ないのですが
悔しいかな、本作で「もっと楽しみたかった」と
思うシーンは熊徹と九太の冒険シーンでした。


後半は難解なテーマ性が色濃く出てる分
あのパートだけは対照的に
爽やかですっきり飲み込みやすく素直に楽しく見れました。
正直、こういうのをイメージして来たんだけどな・・・
という気持ちは否めません。


物語の明るさと暗さのバランスも
本作を歪にしている要素の一つだと思いました。













そんな感じでなんだかスッキリしなさの残る
今年の細田監督作品でございました。

オマツリ男爵


不気味さも相まって
全体的なバランスがどことなく、同じく細田監督作品の
ONE PIECEの「オマツリ男爵」にも似てる気がしました。

微妙な評判は細田監督にも多く届いているとは思いますので
それに対して次回作はどんなものを出してくるのか
期待して待っております。







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