【コングレス未来学会議】の感想。(※ネタバレ)あのラストの意味はこういうことだと思う! | アニメ映画情報ブログ【 ねじまき恋文のヤブレター 】

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すごい!という評判とねむい!という評判の
双方を聞かされていた映画です。

コングレス未来学会議


コングレス未来学会議
を見てきました。





「戦場でワルツを」のアリ・フォルマン監督の最新作。
実写+アニメーションで送る近未来SF映画です。
公開開始時期から結構空いてましたが、
先月まだ公開館が残っていたので劇場鑑賞できました。



見てきた私の感想は、といえば・・・






こりゃきつい・・・

わからん・・・ッス






という久しぶりの難解映画という認識でした。
眠くなる人の気持もすごくわかりました。
今回はネタバレに近い形で感想書こうと思うのでご注意を。






●え・・・突然そこに放り込まれるの!?そりゃわからん

本作はスタニスワフ・レムの「泰平ヨンの未来学会議」という
SF小説が原作なんだそうですが、申し訳ないことに未読。
事前予習などもほとんどなかったので
恐らく多くの方と同じく、めっちゃ頭を使いながら鑑賞しました。

この映画は序盤こそ実写映画ですが
映画の真ん中からスパンッとアニメになってしまいます。

そのアニメというのも、公式HPで書いてありましたが
フライシャー兄弟(というポパイのアニメとか作った人がいる)の
オマージュらしい、古いカートゥーン映画を思わせるものです。

カートゥーン


そのカートゥーンアニメパートには
大した説明もなくいきなり20年後・・・って流れから突入していくので
ほとんどの人が「え?」と思わせられると思います。
そこまでの実写パートはついて行ける人も多いと思いますが
この20年の間になにが起こったのかをまったく描いてくれないので
なにが起こってるのか追いつくのが大変
でございました。

ある意味不親切ではあるんですが・・・
十中八九狙ってやってるんだろうな、とは思います。








●アニメパートと実写パートの違いとは?

前半はあらすじにもある通り、
本人役として出ているロビン・ライトさんが
デジタルデータ化する権利を売る話だったので
てっきり、アニメパート化以降は
デジタル世界の話かな?と思ってみていましたが

話が進んでいくにつれて、やっと
あっそういうわけではない
ということに気づき
なんなら既にデジタルとかそういう境界もない
そんな世界になっちゃってるんだろうと察しました。

やべーやつら
大丈夫か?って容姿の人たちもいくつか。マイケルなんかも居たよね。


“アニメパートの世界がどんなものなのか?”
“アニメパートになってない世界ってなにか?”
ここについての説明があれば全然違ったのだろうけど
この点ですら「察しろよ!」って映画だったので
そりゃ難解にもなります。
いつもは説明セリフを嫌がる私ですが、
今作ばかりは説明セリフが欲しいと思いました。

異世界



どうやら、アニメパートは
不可能であるはずのことが実現できてしまう世界の
幻覚を見ているドラッグ服用状態を表現していて
この20年後の世界は
もはやその幻覚を現実として感じることができてしまう
テクノロジーにまで発展している
ようです。

この前提を携えてみれば
もうちょっと理解しやすいのかもしれません。







●私の解釈!コングレス未来学会議とはこんな映画

このあたりからもう
ほぼ私の思う「コングレス未来学会議」解釈話になりますが

20年後の世界は、幻覚によって
何百年と生きる(ように感じられる)こともできるようになり
肉体という制限からも解き放たれる(ように感じられる)世界に
なっているってことなんだと思います。
だから終盤で、ロビンの息子は幻覚世界に入り
自身の障害を克服するという決断をしていたわけだと思います。

ラブドール
ロビーシーンはやたら性的行為を彷彿させるモチーフばかりでしたね。


そしてこの世界に入ると、もはや自分の意志だけで
容姿や能力なども変化できてしまうので、

あの世界に一度入ると、人探しなんてできないからこそ
ロビンの息子探しは絶望的・・・という終盤だった

のでしょう。


しかし、そんな状況の中、物語の最後に二人は出会えます。
まさにキャッチコピーにもある
「世界がどんなに変わっても、揺るがない愛」。
絶望的な状況下でも親子愛は負けなかった
・・・というオチなわけです。



巡り会えたことも幻覚なんじゃないの?って
解釈もできちゃうんですが・・・
このラスト、中途半端に実写映像に変わってましたよね。

あの見せ方をわざわざするってことは

「最後に出会った男の子は紛れもない息子本人」

ということを表現しているのだと思います。


たまに解答を投げっぱなしちゃう映画があります。
(だから「悪」って話でもないですが)
例えば「インセプション」は観客に判断を委ねるオチでした。
しかし本作はそういった投げっぱなし映画ではなく
しっかり解答を示しているパターンでしょう。

現実世界


近未来物映画で「攻殻機動隊」「チャッピー」などありますが
いずれも機械化した世界で『自分とはなにか?』を問う作品でした。
で、この映画は、そんな
自分という存在が揺らぎに揺らいでしまった世界でも
負けない愛はある 

という非常にハッピーなメッセージの映画だと解釈いたしました。








皆さんは本作をどう受け取りましたでしょうか?
もう2、3回見れば分かるかもなーとか考えたり
パンフレットを買いそこねたのを後悔しておりまして
もうちょっとじっくり考えたい一作でした。

万人にはおすすめできないけど、語り合えればきっと楽しい
非常におもしろい映画だと思いました。





正直、すっごく疲れる映画だけど
高等なおもしろさが魅力の映画です。
私はこれはこれで良いと思います。



  
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