ローブデコルテ | Neimii~和装生地/古布の創作~

Neimii~和装生地/古布の創作~

箪笥に眠っている着物、出番のない大切な遺品など、古い稀少な正絹を、伝統和装の良さを活かすような洋装にと、製作しています。

それは素晴らしい帯を預かりました

いえ、お預かりして…しまって良いのでしょうか…という表現が適切でしょうか

見せていただいた瞬間、美しさに思わず歓喜の声を上げてしまいました

フルオーダーをご希望の品なのです

ほどいてしまうことを考えて……身震い


眺めて触れて、広げて、もう…うっとりです

加賀の格調高い帯

しかも昨今では、一般的な呉服屋さんでは殆ど取り扱いのない"丸帯"です

表裏合わせた幅広で織り上げ、袋状の二つ折りに仕上げる形で、片側が輪となり、もう片側のみを縫い合わせる仕立て

ほどくと70㎝ほどの幅になります


髪型とともにお洒落が盛んになった、江戸時代中期に生まれたという豪華絢爛な丸帯

今では婚礼衣裳の打掛や、舞妓さんが結ぶだらり帯など、限られた用途になっています

重たく分厚いので、使い勝手が難しいため、現在お持ちの方々も、二本の袋帯に仕立て直されることが多いようです


こちらの品は、厄除けの際に誂えられたとのことです

風景画や吉祥紋様が絵巻物の如く全通に描かれた、華やかでありながら上品な色合いの、見事な西陣織

一目惚れだったそうです

どんなモノでも嗜好とは、その人柄をも反映しているように思います

『ワンピースにしてイタリアに連れて行ってあげて』そうおっしゃって預けてくださいました

わたくしは今秋、日伊の養蚕交流記念で行う絹の祭典に参加いたします

ランウェイの花形になるであろう素材



着物紹介と創作品のショーが成功するようエールをくださる、彼女らしい思い遣りや温情が溢れています

その想いを決して無駄にしてはなりません

張りのある上質なシルク

イメージは【和製ローブデコルテ風】

しかしながら、彼女のご希望である"日常で着られる品"を、必ずや納得のできる形にすること

プレタポルテ級の縫製を要します

またしても支え応援してくださる方々に、成長させていただく機会をいただきました

感謝です