11月に奄美大島へ行って参りました
大島紬の生まれる現場…いつか見せていただきたいという念願でございました
幾重もの工程
緻密な作業
職人技の極み
わたくしの根幹が震え
わたくしは更なる先を描こうと思いました
大好きな大島紬づくしでございます
2枚の着物からアンサンブルに仕上がったオーダーをご紹介します
お母様の遺品の茶系大島と、ご自身のお嫁入りの際に誂えていただいたという黒大島
お二人の…母娘のお着物がセットアップに
お気に入りの形と仰るワンピースをもとに、柄行きを損なわぬようバックコンシールファスナー仕立て、シャーリングポケットは横置き柄に配置してモダンにいつも個性的でお洒落な着こなしをされるお客様らしい一品です
本当にお似合いでございました
折角なら…どこかにワンピースの生地をあしらい、遊び心のあるセットアップ風に…など、お客様との楽しいデザイン検討の時間をいただきました
そして仕上がったケープコート&ワンピース
納品は何度経験しても、いつでも、緊張いたします
お客様が真に喜んでくださるのか…本当に祈るような想いです
いつも同じ台詞になってしまいますが、ご依頼主様の笑顔が、わたくしどもにとって創作力の源です
もう一品、間も無く喜寿を迎えるわたくしの母からのオーダー
昭和前半の粋な大島紬…母の叔母の形見です
叔母が好んでいた歴史、譲り受けた母が纏っていた姿を、覚えています
仕上げてから母は毎日のように、このワンピースをカパッと被って重ね着しています
樹木希林さんがお着物通で、リメイク品も好んでいらっしゃったことは周知かと存じます
同じような事を母が口にします
気に入った物がいいの…その形を幾つか用意して着回すの…ですって
着物の魅力、正絹の息遣い、日本人だからこそ守るもの
溢れ出す…零れ出る…
無下な大量消費の時代は終焉に向かい、個々の価値観のもと、大事とされてゆくものも変化してゆくのでしょう
2020年が想定外の渦中で幕を閉じます
来たる2021年、皆々様の心身が少しでも、傷みませんように…哀しい涙を流されませんように…
誰もが、大切なモノを、大切にしてゆかれますように…