
人に頼まれて、ローカルヒーローのフィギュアキーホルダーを大量に作りました。
今回はその試作品の制作過程を記事にします。

まずは原型作りからはじめます。これを複製して大量生産します。
送って頂いたキャラクターのイラストを見ながら頭部から作っていきます。デフォルメタイプで造形はすべてお任せということです。大きさは4.5cm~5cmで作る予定です。


ポリパテを使って全体を整えていきます。

サーフェイサーを吹いて表面を整えて原型完成!

でも首を付けたら何かかわいくない・・・。どうやらデフォルメフィギュアは首いらないようです。
また元の首なしに戻しました。笑



今回は造形村の透明シリコンを使用。このシリコンは他のシリコンよりも値段が高いですが、引っ張り強度があり、型の耐久性がハンパ無いです。これ使ったら他のシリコンは使えないです。

気泡があると型の強度が落ちるので、気泡は無くしたいものです。
そこで登場するのが、真空保存容器(ポンプと容器で1,500円くらい)
真空容器を使って脱泡するというアイデアは他のモデラーの方が考えた先人の知恵ですが、これ考えた方すごいと思う!
まず主剤をこれでもかというくらいによくかき混ぜます。
そして気泡だらけになった主剤を真空用に入れて容器内の空気をポンプで吸い出して容器を真空にします。
気泡が無くなったら取り出して、硬化剤を入れ、またよく攪拌します。硬化不良が一番怖いのでやりすぎるくらいに攪拌します。
攪拌したものをまた真空容器に入れて15分後に取り出して、型に流し込みます。
この時に少し気泡もありますが、その気泡は消えるものなのでほっといても大丈夫です。

裏側から油粘土を取り出し、シリコン部分に離型剤を塗り再度シリコンを流してシリコン型の完成です。

今回は大量生産するということと、人から頼まれて作っているものなので気泡は許されません。
ここで登場するのが圧力鍋。これも先程同様、先人の知恵なのですが、加圧することによって気泡を失くすという原理らしいです。真空容器の場合、真空にしてレジンを沸騰させ気泡を抜いた後に今度は減圧して型にレジンを吸い込ませる方法もあるのですが、レジンの硬化時間が短すぎる為真空容器は使えず今回は加圧式を使うことにしました。
圧力鍋の蓋のノズルを外し、自転車のチューブを切ったものをその穴部分に取り付けただけのものです。
この圧力鍋はノズルを外した穴が自転車のバルブと同じ大きさなので、加工の必要もなく終わったらまた圧力鍋に戻すことが出来ます。また安全装置が付いている為に破裂事故も起こらないし、空気を抜く場合も蓋の赤いポッチを押すだけで簡単に抜けるので、ほんとおすすめです。

シリコン型にレジンを流し込んだら、圧力鍋に入れて蓋をし、自転車の空気入れにて安全弁から空気が少しもれるまで加圧してレジンが硬化するのを待ちます。

太っちょの原型でしたが、このようにキャストすると少し痩せるのでちょうどいい体型になります。

どんどん抜いていきます。





前と同じように気泡を抜くために真空容器を使用。



シリコン型には離型剤としてタルク(ベビーパウダー)を塗ってあります。




これだけあると、ほんと大変・・・。



つや消しが個人的には好きですが、つや消しだとシルバーがグレーになってしまうので、今回はスーパークリアー半光沢を使用しました。ちなみに光沢でも良かったかもしれないと、作業が終わった後に思いました。

キーホルダー金具はレトロなスネークタイプを選びました。




家が玩具工場のようになっています。笑


すごく大変でしたが,、とりま何とか試作品を完成させることが出来て良かったです。^^
試作品を作ることで、いろんな改良点がわかるので試作は大事だと思います。
以上が素人スカルプターのフィギュアキーホルダー制作記です。
最後までご覧いただき、ありがとうございました!
※2020年10月、追記
このキーホルダーが、三浦春馬さんが出演したTBSテレビ 火曜ドラマ「おカネの切れ目が恋のはじまり」の小道具として提供されましたが、残念ながらドラマが途中で終わってしまったために、キーホルダーは映ることなく、美術協力として名前が出ただけで終わってしまいました。
三浦春馬さんのご冥福を心よりお祈りいたします