終戦の時期ということで、NHKで放送されるのをたまたま知ることができて、観ました。
元海軍司令部の人たちが、戦後に仲間内で「反省会」として私的に開いた会合の録音から、当時の海軍司令部の内情を明らかにしたものです。
全3回で、私が観られたのは第2回「特攻“やましき沈黙”」です。
内容は全て非常に衝撃的だったのですが・・・
特攻といえば航空機による「神風」が最もよく知られますが、海軍は他にも多くの特攻兵器を開発し、使用していました。
回天(人間魚雷) 、海龍(特殊潜航艇) 、伏龍(人間機雷) 、桜花(特殊滑空機)、その他・・・
番組では、回天の内部映像と元乗組員の証言もありました。
回天(人間魚雷)のような特攻兵器は、戦闘機による神風とは違い、最初から、人間の命を兵器の一部として使用することを前提に設計されています。
魚雷の暗い内部に人間を閉じ込めて敵艦に突っ込ませるというその思考は、おぞましいという言葉でも、到底足りないと感じます。
回天の命中率は、わずか2パーセントだったそうです。
それは、大部分の若者が、出撃し、体当りして死ぬことすらできずに、魚雷とともに海の底に沈んだことを意味します。
その苦痛、恐怖と絶望を思うと、震えるほどの怒りと恐怖を感じます。
子がそんなふうに死んだことを知った親の、後悔と悲しみも。
また、血の気が引くようだったのが、戦況が悪化する中で、海軍は日本全土に特攻基地を設け、まさに全国民を特攻兵器として国土を防衛する計画を立てていたという事実です。
その基地計画を記載した日本地図には、全国を特攻基地が埋め尽くすように記載されていました。
私たちはこれらを振り返って、簡単に「狂っている」とか、「非人間的」とか言うことはできます。
でも、この番組で明らかにされているのは、当時も「おかしい」「こんなことは間違っている」と考えていた軍司令部の人間は少なくなかったのに、それを止められなかったということです。
私たちは漠然と、この現代ではもうそんなことは起こらないと思っています。
でも、当時の政治家や国民より今の私たちのほうが賢いと言える根拠は、何もない気がします。
絶望的に誤った政策が、非常時だからと成立してしまう危険は、今も現実のものとしてあると思います。
やっぱり私たちは、もっと歴史を知らなければ、と思いました。
学校の歴史の授業では、こんなことは習わなかった。とても足りません。
こんな貴重な録音資料を探り当てて番組化したNHKに感謝しました。