『短歌ください』(穂村弘) | 今日も花曇り

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都知事選が終わりました。
今回ばかりは、誰に投票したらよいか分からず(というよりは行く気がおきず)、棄権してしまいました。私は宇都宮さんに入れたかったのですが、わけのわからないうちに野党の統一候補は鳥越さんになり、結果はあれです。野党は、千載一遇の機会をドブに捨てました。怒り心頭とはこのことです。

さて、『短歌ください』でした。
穂村弘は歌人。「ダ・ヴィンチ」という雑誌の読者投稿企画「短歌ください」に寄せられた短歌から、著者が選抜して講評をつけた本です。

面白い。斬新。奇想。
伝統的な和歌のように、心に沁みつけて、その和歌の言葉をとおして物を眺めるというのとは違いますが、自分と同じ時代の言葉だという喜びはやっぱりあります。

読者投稿とはいっても、とても素人の思い付きなどでは作れない気がして、相当鍛錬を積んだ人の投稿が多いという感じがします。名前を見ていても、常連が多いです。


帰さないと言はれたことのない体埠頭の風にさらし写メ撮る(コーネル久美子・女・39歳)

ブティックのたくさんの服はひらかれてそしてたたまれましたおやすみ(陣崎草子・女・31歳)

どうせ死ぬ こんなオシャレな雑貨やらインテリアやら永遠めいて(陣崎草子・女・31歳)

きみの目は遠くをみてる小さくて鮮やかな色美しい飴(シラソ・女・23歳)

するすると赤いリボンが落ちてゆくりんごの香り終わらない夜(シラソ・女・24歳)

『ねむる』の『む』その字のふかさに気付くときあたしのあたまのうえにてのひら(りえ・女・17歳)
※「だいすきな人の隣で眠ったときに、寝る、と、眠る、の違いを実感しました」という作者のコメントがあったとのこと。17歳ですごい!

死にました。当分君に会えません そう思いこむ生きてゆくため(甲本夏子・女・20歳)



たったこれだけの数をみただけでも、自分が好きな歌を選んでいくと傾向というのはあらわれるものですね。気がつくと同じ作者の歌を選んでいたり。
あと、女性の作者が圧倒的に多い気がします。短歌という形式には、何か女性が適性をもつのでしょうか。

これだけの長い間、同じ形式の芸術が命をたもっているということは、すごいことだと思います。、