一番違うのは収入です。
・・・というのは冗談ですが(本当ですが)、違うところに「専門」があります。医師は養成の過程のいずれかで、特定の診療科で専門を身につけるのが普通だと思います。開業するときも、特定の診療科を掲げて開業します。
弁護士の養成過程には、そういうコースは特にありません。司法修習で配属された法律事務所が専門分野を持っていればそれを学ぶ機会があるのがせいぜいです(しかも修習先の事務所は自分では選べない)。
就職先の事務所が専門分野を持った事務所なら、自然にその方面の専門へ入ることも多いと思います。
しかし、私の事務所はいわゆる一般民事が主。法律的に相談のなかでは一番よくある借金の整理、交通事故、離婚、遺言・相続それに刑事がメインで、埼玉(というより東京・大阪以外)では一番多い業務形態かと。
日々業務をこなすことで平均的な知識は身についていきますが、平均以上の知識と経験は、自分で積極的に動かなければ身につきません。
弁護士大増員時代に、やっぱり自分も専門を持たなければという危機感があります。しかし、上に書いたようなごく一般的な類型の事件でも、勉強すべきことはいくらでもあるので、毎日の仕事をなんとかこなしているだけで時間が過ぎてしまうという焦りがあります。
ごく最近、私も存じ上げている弁護士の方が独立開業し、取り扱い分野を「債務整理」「相続」「不動産取引」「会社の再生・承継・倒産」の4つに限定するという、私のいる地域の事務所としてはかなり大胆な方針を打ち出されました。
すごいなと思う一方、自分にはそういう割り切りをする勇気と実力はまだ到底ないなと感じさせられました。
埼玉弁護士会では毎月「弁護士会だより」という会報が発行されています。その中に会員弁護士のエッセイが掲載されるコーナーがあります。8月号は医療問題弁護団の活動等で著名なF先生でした。その中でF先生はこんなことを書かれていました。
「その時その時に要請されたことを事件でも委員会活動でもその他でも一生懸命にやるということでしょうか。それが弁護士ではないでしょうか。私はそう思っております。そのことがそれなりに弁護士としてやってきたという自負にも繋がりますが、一方で、専門家になりきれなかったかなあ、という思いもあります。」
同期の弁護士の皆さんは、日々どんな勉強をしているのでしょう?自分の専門をどう見定めたらよいのか・・・。とにかく、迷っているヒマがあったら何かをすべきだとは思うのですが
