「弁護士だからできること-事件は人の欲から起きる」(萬年浩雄著) | 今日も花曇り

今日も花曇り

読んだ本や考えたこと、仕事について。

図書館の棚でたまたま見つけて借りて読みました。福岡で活躍する萬年弁護士が、これまでの弁護士生活で体験したいろんな事件のことを書いたエッセイ集です。

この類の本はベテラン弁護士の「俺ってこんなにすごい」自慢であふれていることが多いので、正直あんまり得意ではありません。実はこの本もまさにそうなのですが、その自慢があっけらかんとしていて、しかも著者のやっていることが実際「すごいなあ」と思えるので、飲み会で先輩弁護士の武勇伝を聞くような気持ちで、楽しく読めました。

そのうえ、ベテランならではの事件処理の方法がたくさん書かれていて、私のような経験不足の新人にはなるほど!と思える記述がたくさんありました。たとえば・・・

相手方から遠方の裁判所で訴訟提起されそうな場合、多少無理筋ではあっても先手をとってこちらの管轄の裁判所で別の請求を立てて訴え提起し、相手から訴えがあった場合は移送してこちらの訴訟に併合することを主張するとか

能力のある経営者が運悪く会社を破産させざるをえなくなってしまった場合、信頼できる社員を社長にして別会社を作らせ、そこに破産会社の機材等を安く売ったうえ、元経営者を部長に据えて再スタートを切らせるとか

依頼者が借地からの立ち退きを迫られているが、その借地で商売をして十分に売上があがっている場合、紛争解決はのらりくらり先延ばしにして、その間に稼ぎまくれと依頼者に指示したりとか

こんなの、教科書のどこにも書いてませんからね~

萬年弁護士はすごい熱血タイプの方らしく、自分の依頼者を怒鳴ったり叱ったりする記述がたくさん出てきます。私はそういうの絶対できないタチなのですが、「依頼者に振り回されてはいけない」という言葉には耳が痛い思いです。
しょっちゅう振り回されてるものなあ・・・