
記録を読んで傍聴する、という流れは民裁・刑裁と一緒でした。
短い時間でしたが、印象が強かったのは、やはり少年事件でした。少年事件では、成人の刑事裁判の記録とは違い、少年の家庭環境等の犯罪事実以外の事柄についても、主に家裁調査官が調査したものが「社会調査記録」としてまとめられていて、非行の背景について詳しく知ることができます。私が読んだ記録では、スピード違反などの単純な交通事犯を除いて、全部の少年が家庭に深刻な問題をもっていました。
既にいろいろなところで指摘されることではありますが、貧困、低学歴、若年齢での出産、離婚、虐待・DV等・・・これらが相互に原因と結果として重なり合ってしまうこと、それが階層として固定されて子へと受け継がれてしまうこと、そして、それらが最後に犯罪へ結びついてしまうという現実を、突きつけられた思いでした。
「ドキュメント高校中退―いま、貧困がうまれる場所」(青砥恭著、ちくま新書)という本を読んだ時も大変ショックを受けましたが、この本に書かれていることがありふれた事実であるのが現在の日本なのだと、思い知らされました。重なり合う不幸な要素のうち、1つであっても、私なら大変つらい、耐えられないと感じると思います。大人でも対処が難しい過酷な状況をいくつも背負っている子どもに、それでも「がんばって」健全に成長せよと言うのは、あまりに酷に思います。
どうしたらよいのか、どうしたらよいのかと、ぐるぐると考えながら記録を読むうち、2日間はすぐに終わってしまいました。先日、裁判官はできそうにもないと書いた私でしたが、家裁の裁判官の仕事ならやってみたいと思いました。
来週からはとうとう最後のクール、検察修習が始まります。