由依side


3月も半ばに入り先月の寒さは何処へ行ったのかと思うくらいに太陽が眩しく生暖かくなった。
私はまだ誰も来ていないこの教室で読書をすることが好きだ。
静かな教室でページを捲る音が心地よい。それと同時に様々なことを考えてしまう。



つい先日。三年生は卒業を迎えた。
私も後一年で卒業かと考えると、時の流れは早いものだと実感する。
もう直ぐ受験生にもなるし後悔のないように頑張らないとなあ。


そんなことを考えながら読書を進めた。





8時を過ぎた頃から校舎が賑やかになった。
教室にもクラスメイトが入ってくる。今日の学食の日替わりメニューはカレーだのなんだのと声が飛び交っている。

 『由依ちゃんおはよ〜!』

由依「おはよう〜」

 『今日も早いね〜』

由依「まあね」

この子は私の友達。いつも明るくて愛嬌が良い。遊びも誘ってくれて嬉しいの。

 『さっき歩いてる時にね〜』

由依「うんうん」

 『その後にね..ってあ!由依ちゃん』

友達がニヤニヤしながら向けた目線の先は

由依「何よ笑」

 『理佐、今日もカッコいいね?』

由依「知らない」

 『また照れちゃって〜』
 『ほら行ってきなよ!』

トンと背中を押されてその人の目の前に来てしまった。

理佐「由依ちゃんおはよ。どした」

制服を着崩しているにも関わらず何でもカッコよく見えちゃう。
てか、距離近すぎる。。。やっぱりイケメンだぁ

由依「う、ううん」

不思議そうに顔を覗き込んでくる。

理佐「顔赤くない?大丈夫?」

由依「だいじょぶ!」

早口になってしまった。

理佐「可愛い」

由依「えっ、、」


体温がブワッと上がっていくのを感じた。
そのせいかそこからの記憶は飛んでしまった。





4限目
楽しみにしていた調理実習の時間。今回はカレーを作るそうだ。
この学校にはジンクスがある。調理をした後に好きな人を誘い二人で食べるとその恋が実ると。

友達に誘えと散々言われてきてるが私にはそんな勇気はない。
でも、他の子が誘ってたら、、、考えると胸がギューッと締め付けられる。だって理佐、モテてるんだもん。


モヤモヤした気持ちのまま食材を切ったり煮込んだりしている。同じ班の人に料理が出来ることを褒められるが、チラチラと向こう側にいるあなたを気にしてしまう。

 『なになにまた見てるの?』

由依「見てない!」

 『後で呼んであげようか?笑』

由依「いい!」

 『も〜素直になりなよ〜』

由依「うるさい」

 『困った人だねえ』

由依「ふんっ」

いつもイジってくるんだから。





白米とカレーをよそって完成した。
もう既に二人きりになるために教室から出て行く人も見えた。
大人しく一人で食べようかな、、

そんな時、


理佐「由依ちゃん」

由依「え、?」

理佐「よかったら二人で食べませんか」

由依「わ、私?」

理佐「うん」

由依「でも、他の子に誘われてるんじゃ」

理佐「由依ちゃんと食べたいから来た」

少し離れている友達の方を見ると頑張れと言わんばかりの顔をしている。

そんなの、期待しちゃうじゃん

由依「私でよければ、よろしくお願いします」

理佐「やったーじゃあ空き教室の鍵借りといてたから行こ」

空き教室!?外でベンチに座って食べるもんだと思ってたからそんなの完全なる二人きりじゃん。。。





教室に入り椅子に座ると理佐も隣に座ってきた。
だから何でいつも距離が近いのよ。

理佐「由依ちゃんって料理上手なの?」

由依「家でよくするから、」

理佐「凄いね。付き合うなら料理できる人がいいなー

そうしてすぐドキッとすることを言ってくる。

理佐「美味しそうだから一口頂戴」

由依「う、ん」

私が持っているスプーンを取ってカレーを一口入れた。

理佐「うんまっ」

由依「よかった、、」

けど、そのスプーン私の、、無意識なの?間接キ..じゃん!

理佐「また顔赤いじゃん」

由依「そんなことない!」

私はカレーをかき込むように勢いよく食べた。

理佐「可愛い。お腹空いてたの?」

由依「可愛くないから!!」

もう何なの!!恥ずかしすぎる!
私は立ち上がってカーテンと窓を開けて心を落ち着かせようとした。

理佐「何してるの?笑」
 
由依「え、ちょ、」

何で後ろから抱きついてきてるの、、

理佐「由依ちゃんいい匂いする」

由依「嗅がないで!!」

耳元で喋ってくるから、くすぐったい、、

理佐「ごめんごめん笑」
  「てか風が気持ちいいね」

由依「だね〜」

理佐「由依ちゃんは何の季節が好き?」

由依「春かな〜」
  「お花も綺麗だし何よりもこのくらいの気温が居心地良くて」

理佐「分かる。後少しで桜も咲きそうだね」

窓越しから見える桜の木を見ながら春の風を感じる。

理佐「花粉はどうにかして欲しいけどね」

由依「ほんとに。最近ヤバいよね」

...

理佐「由依ちゃん」

由依「うん?」 

理佐「今週末空いてたりする?」

由依「空いてるよ、?」

理佐「よかったら二人で遊ばない?」

由依「えっ、」

まさか遊びに誘われるなんて想像してなかったから頭の中がぐるぐるし始めた。

理佐「どう?」

由依「行く!絶対行く!!」

理佐「ほんと、ありがと!」

由依「うん!楽しみ!」

可愛いお洋服買っとかないと。。。





4限終わりのチャイムが鳴った。
二人きりの時間がまだ終わって欲しくないと欲張ってしまう。

由依「ねぇ、」

理佐「ん?チャイム鳴ったし戻ろうか」

由依「うん、」

理佐「どうした?」

由依「ううん戻ろう」

窓に入ってくる風が私の髪を靡かせる。

私はその窓を閉めて教室を後にした。


fin