恋は二度目のアネモネ -18ページ目
とびきりおいしいフルーツと、
翳りゆく部屋。
あなたの気配より、
ひとりの気配が濃くなる。
作用してるの。
面白いくらいに。
異常なくらいに。
わたしなんて、
自我のない操り人形だ。
ああ
だけど、
どうしてもわたし、
夢から覚めたくないのだ。
わかりたくなくても、
わかってしまう。
拙い指先から、
皮膚の表面から、
ありありと伝わってしまう。
ビリビリ
電気ではじまって、電気で終わる。
恋。
恋は。
最高に刺激的で、
最高にかなしい。
時間を戻したい瞬間も、
帰りたいあの日も、
数えきれないくらいあるけど、
タイムマシンがなくてよかった。
かなしんだり、
後悔したりしながら、
ページをすすめるしかないのだ。
ああ
だけど本当は、
いまそばにいる人に、
もういちど出会いたい。
かみ合わない
のは、
当然だ。
でもわたしは、
あまりのかみ合わなさが、
あからさまな齟齬が、
とても信じられなくて、
ティッシュの箱に描かれた、
青とか水色とか紫の花を、
馬鹿みたいにただ見つめていた。
馬鹿みたいに。
あの赤い花は枯れてしまったけれど、
捨てる瞬間、
とても良い馨がした。
気持ちを引き締めていないと、
ふいに泣きそうになってしまう。
そんなかすかな感傷にも。
つまらない歌の歌詞にさえ。
ああ。
どこへも行ける気がしない。
でもわたしはきっと、
どこへでも行けるし、
うまくやっていくんだと思う。
持ち前の適当さと軽薄さで。
終わらないと、
はじまらない。
そんなのは紙の上だけで、
この世界の表面を
さらりとなでても、
指紋がつくだけなんじゃないかなあ。
薄まった夜の中で、
きみの馨が色濃くなって、
気持ちが落ちついたの。
いけないことしてる。
わたしたち。
だけど、
さりげなく差し出された手に、
じんわり救われたのだ。
そんなつもりはなくても、
きみのおかげだと思う。
終わりの気配が漂う。
ゆっくりと、静かに漂う。
ふたを開けてみれば、
重ねたものなんて何もなかったのかもしれない。
好き、だけで完結するような
そんな格好いい生き方ができればよかったな。
本を読まないあなたは、
行間の読み方を知らなかったのかもしれない。
でもわたしは、
ダイレクトな台詞をこれ以上、
たったのひとことも言いたくないのだ。
浮世離れが、得意なの。
だから今日も、
千鳥足でもかまわないわ。
失ってから気づくのは、
きっとわたしもおんなじだ。
でももしかしたら、
飽和しきった心と体が、
もう何も与えないかもしれないね。
変化している。
確実に。
あらゆるものが変わってゆくのに、
もっとも胡乱なものを信じがちなの。
この普通が当たり前じゃなくなるには、
3日もあればじゅうぶんなのに。
すり抜ける。
糸のようにするりと。
すれ違いざまに、
消えない痕を残したい。
痛い、やつ。
空気みたいな存在、で、
喜ぶ女がいれば見てみたい。
と、思っていたけれど、
案外多いのかもと気づく。
わたしはそんなことを好きな人に言われたら、
身も世もなく、嘆き哀しむだろう。
空気て!
そんなことを得意げに言うやつは最低だ。
今日は、臨戦態勢。
トゲトゲしててやっかいだよ。
悪意を持って、刺してやる。
ぐさり。
惡の華。
傷つけると気づくは語感が似ているが、
似て非なるものです。
いつだって
傷つけたいんじゃなくて、
気づいてほしいのだ。
いつだって。
いつだって。
ああ、こんな
怒りさえも瑞々しいなんて。

