八月の、
蝉時雨をぬって ひとつ ふたつ
みっつ数えたら、
あなたの姿がみえたのよ。
打ち水が馨ったら、
今年もまた
この空気に浮かれてしまって千鳥足。
浴衣に袖をとおした。
だけどわたしはもう、
去年の夏の出来事だって
昨日のことみたいに思い出せるのよ。
わたしの好きな歌。
八月は恋のあやとりが苦手らしく、
絡まりそうなのは
浮かれた千鳥足だけじゃない。
にぎやかな祭りの景色には、
現実感がこれっぽっちもない。
みぎあし、ひだりあし、
そうやっていつも通り歩いているのに、
下駄のしたの地面は
からん、と小気味良くわたしを絡ませるのだ。
浴衣の袖をひく八月に別れをつげる


