01102
おはよう。
眠そうな猫に、僕は、呟いた。そしてまだ真っ暗な東京の空を、ぼんやりと眺めた。今日も始ったんだ、夜が、明けんだって大きな深呼吸をして、君が住んでいる街も、まだ暗いのかな、なんて事を考えた朝だったんだ。濃い珈琲を作り、テレビをつけて、ニュースに耳を傾けた頃、猫は眠そうに起き上がり僕の横に丸くなった。猫になりたい。と、想ったけれど僕は、猫になる術を知らないので、冷たい水で顔を荒い、身支度を始めた。北日本は、雪が降っている。と、雪が降っている景色が映し出された。僕は思わず猫を見つめ、雪が降ってるんだってさ。と、呟いたけど、猫は耳をぴくぴくさせ、また顔を伏せて眼を瞑った。
朝食は、スチューベンを食べようって思っていたけれど、珈琲を二杯も飲んでしまったら、もう僕の胃袋は、たぷたぷになっていたので、朝食は今日は摂らなくて良いや。なんて想いながら、僕は鞄の中をチェックしたんだ。財布に、煙草2箱、読みかけの本と、鍵、手帳に、カメラ、新聞を詰め込んでワスレモノがないかと、何度も確認したんだ。いざ出発、と、意気込んで家を出て数メートル歩いた時に、ジャケットのポケットに手を入れて、気がついた。上着を変えたせいで、定期を入れ替え忘れた事に。僕は歩いた路を引き返し昨日着ていたジャケットのポケットから定期入れを取り出して、また家を出た。
いつもの電車に、間に合った。
いつのも路、いつもの電車、いつもそこにあるもの。
今頃、猫は家で、僕が座っていた場所で丸くなって眠っているだろうか。あぁ、猫になりたい。
そして僕が猫になったら、君に飼って貰いたい。君の猫に、なりたい。


