夜明け前。 -204ページ目

01305






今にも泣き出しそうな雲だったっけ。帰宅途中に夜空を見上げたら、今にも泣き出しそうな、雲が沢山広がってた。街の灯りが雲に反射して、真っ暗じゃなく薄明るい。週に一回くらい、キャンドルナイトのように東京の電気が全て消えてしまえば少しは温暖化だって変わるんじゃないかなって想うけれど、今更そんなの、遅いよなって想ったら皮肉にも、乾いた笑いが出た。今更遅いなんて想うなんて僕らしくない。




僕の変わりに、泣いてくれませんか。




明日は、晴れだってさ。そうそう僕の変わりに泣いてくれるわけ、ない。甘くない、ってな。泣きたい事があったわけじゃない。涙を流したいわけでもないけれど、なんだか、そんな気分なんだ。何だろうな、これ。悲しいわけもでも、切ないわけでも、何でもないのに、少しだけ憂鬱ってやつなのかもしれないな。ああ、きっと僕の変わりに泣いて欲しいんじゃなくて、泣き出しそうな空の代わりに、きっと僕が泣けば良いんだ。





01303







僕が入れた珈琲に口をつけると、美味しいって呟く君を見て僕はなんだか照れくさい気持ちになったんだ。

君が入れる珈琲は、世界一美味しいって想ってるけれど、この言葉は僕の心の中に留めておこうって決めてるんだ。だってなんだか物凄く恥ずかしいし、言ったって信じてくれないような気がするから、さ。君が入れた珈琲を飲む度に僕は幸せな気分に、なる。そして物凄く贅沢な気分に、なるんだ。







01302








風呂上りに、果物を。ここ一ヶ月果物食べてないなって想って、目に留まったのが苺だった。

甘酸っぱくって冷たい苺を頬張りながら、今僕はパソコンに向かって、言葉を、綴っているんだ。

林檎ってこの時季高いんだって知った。今の時期の果物って何だろう。5月。さくらんぼかな。でも、まだ高かった。マンゴーもあったっけ。だけど、マンゴーって、家で一人で食べるものなって想ったら手が出なかった。そこで無難に、苺。久しぶりの果物は、なんだか僕の足りないものや欠けていたものを、補ってくれてるような気がする。ああ、身体って正直なんだなって想う。練乳も牛乳も買ってきたけれど、もう、いいや。やっぱ素のままで食べるのが一番美味しい。いつかの、苺狩りを、想い出しながら、僕はぼんやりパソコンの画面を見つめています。