フランス大統領マクロンは、欧州議会選挙で、極右マリーヌ・ルペンの「国民連合(RN)」に大敗したことをうけて、フランス議会の解散にうってでた。これは、小選挙区制であるがゆえに、6月30日の第1回投票では、「国民連合」がそれなりの票を獲得したとしても、決選投票では<極右⇔反極右>の構図となって、反極右の票が与党にまわり勝利しうる、という目算をたててのことであった。

 しかし、この目算は狂いつつある。28歳のソフトな風貌のジョルダン・バルデラを党首にして、政策的にも極右色を消したマリーヌ・ルペンの党は、よりいっそう勢いを増しているからである。

 6月半ばの世論調査では、第1回投票にかんして、「国民連合」は35%で1位、左派系連合「人民戦線」が26%で2位、マクロン率いる与党「再生(RE)」は19%で3位となっているのである。

 極右の「国民連合」が支持率で1位になっているということばかりではなく、争いが選挙一色になっているということそのものに、フランスにおけるプロレタリア階級闘争の危機がある。左派系とよばれる「人民戦線」それ自体が、選挙のためのものなのである。労働組合それ自体が、選挙のための部隊となっているのである。極右勢力の伸長を選挙によって食い止めようとするかぎり、それは無力である。労働者は、プロレタリア階級闘争の主体となって団結するのではなく、一票に還元されてしまうのだからである。

 「人民戦線」という発想それ自体が、敗北の紋章なのである。それは、1930年代のフランスやスペインでの「人民戦線」の右翼的焼き直しでしかないからである。右翼的焼き直しでしかないのは、かつては「社会ファシズム」論から右翼的にひっくり返ったスターリン主義者が牽引していたのにたいして、今日では、労働貴族とそのイデオローグでしかないような連中が主力をなしているからである。

 欧州議会選を前にした6月8日には、フランス全土で、約25万人、パリ市で7万5000人(内務省発表の数値)が、「国民連合」に抗議する集会をもったのだという。その中心は、労働組合、左派の学生団体、人権団体であり、これらは、反移民・EU懐疑派の「国民連合」の台頭に抗議する勢力をなした。この勢力は、2018年からはじまったマクロン政権批判の黄色いベスト運動の担い手たちでもあった。マクロン政府は、この抗議デモを規制し弾圧するために2万1000人の治安部隊を動員した。

 この闘いに結集した、労働組合、左派の学生団体、人権団体などの労働者・勤労者・学生・知識人たちは、極右勢力の台頭を阻止するという決意と熱意にもえているといえる。だがしかし、それは、選挙において、極右「国民連合」の候補をとおさない、というものなのである。すなわち、それは、労働者・勤労者・学生・知識人たちの個々人をたんに一票として数え、この一票に賭けたものにほかならない。これでは、この闘いは、現存する国家権力たるマクロンの権力と、国家権力の座を狙う極右マリーヌ・ルペンの党に敗北してしまうのである。

 フランスのプロレタリア党とその党員は、このような労働者・勤労者・学生・知識人たちを、議会主義の呪縛から解き放つためのイデオロギー的=組織的闘いを断固としておしすすめなければならない。ブルジョア議会の欺瞞性と階級性をあばきだすとともに、一切の議会主義の誤謬を明らかにし、彼らにそれからの決別をうながしていかなければならない。

 そして、プロレタリア党は、戦争問題や労働者の搾取の問題やまた移民の問題についてのマリーヌ・ルペンの党の態度の階級性をあばきだし、これらの問題にかんする諸闘争の推進を、労働者・勤労者・学生・知識人たちに呼びかけなければならない。それと同時に、プロレタリア党の党員は、労働組合においては組合員として、そして学園において、さらに地域において、これらの諸闘争を組織しなければならない。

 ロシア政府のウクライナ侵略反対、ウクライナ政府の軍事的対応反対、フランス政府のゼレンスキー政権への軍事的支援反対の反戦闘争を、イスラエル政府によるガザ人民虐殺反対の闘いを、そして独占資本による労働者の搾取の強化反対・賃上げの闘いを、また移民の排斥に反対し移民労働者を支援して労働組合に結集する労働者たちと移民労働者たちとの階級的団結をかちとる闘いを、さらに年金の支給年齢の引き上げに反対し生活苦を突破する闘いを、プロレタリア党の党員はそれぞれの場において組織し推進し、この闘いを総結集して全国的および各地域での統一行動を展開しなければならない。

 フランスのプロレタリアートは、1930年代・40年代の「人民戦線」の議会主義的誤謬をくりかえしてはならない。フランスのプロレタリア党は、上記のような闘いを組織し展開するためにイデオロギー的=組織的にたたかわなければならない、と私は考えるのである。

 フランスの同志諸君、どうだろうか。

 

 

 

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