黒田寛一は、「米・ソ核実験反対」の反戦闘争は「大衆運動」であり、新たな「段階」を切り拓いたものであることを明らかにした。

 「現段階における反戦闘争とは何か?」(1961年10月27日)では次のように展開されている。

 「「平和のトリデ」・「社会主義」ソ連邦というスターリン主義者どもの神話を大衆的基盤においてうちくだいていく運動として、「ソ連核実験反対」の運動は組織され展開されなければならない。それは直接には〈反帝・反スターリン主義〉の革命運動ではない。かかる戦略的課題を実現するための、その前提としての広汎な統一戦線的な基礎を創造するための大衆運動である。しかしながらそれは、平和共存戦略のもとにおしすすめられてきた現代の公認共産主義者やその同調者どもの「平和擁護運動」とは、本質的に異なる。」(黒田寛一『スターリン批判以後』(下)現代思潮社、1969年刊、357頁)

 「ハンガリア革命の直後に開始されたわれわれの反スターリン主義運動は、「労働者国家無条件擁護」の自称トロツキストによるソ連核実験の是認にたいしても、革命的プロレタリアートの立場において、断乎としてたたかいつつ、「平和擁護運動から反戦闘争へ」というスローガンを一つの軸として開始されたのであった。そして五年後のこんにちソ連核実験の再開に直面させられたわれわれは、さらに強力に「米・ソ核実験反対」の運動を現実的運動として創造しなければならない。かつてのわれわれは平和擁護運動の小ブルジョア的限界の突破、「平和共存」戦略反対のイデオロギー闘争に当然のことながら局限されていたのであるが、こんにちのわれわれは、より高次の次元においてこの闘争を展開しうるのである。なぜなら、いまや日本の反スターリン主義運動は、たんなる宣伝・理論闘争の段階を止揚して、大衆運動のなかに物質化されている革命的組織を実体的基礎としているのだからである。この革命的共産主義運動の発展を促進するための現段階における主要なスローガンは、まさに「米・ソ核実験反対」であり、「米・ソ軍拡政策反対」であり、「破産した原水爆禁止運動と決別し、反戦インターナショナルを組織せよ」でなければならない。」(同前、362頁——下線は、原文では傍点)

 ここでは、「米・ソ核実験反対」の運動を現実的運動として展開しうる、反スターリン主義運動の新たな段階が、明らかにされているわけである。

 たしかに、「米・ソ核実験反対」の反戦闘争は「大衆運動」と規定する以外になく、「プロレタリア階級闘争」と規定するわけにはいかないであろう。しかし、「破産した原水禁運動と決別し、反戦インターナショナルを組織せよ」という指針は、原水協とは別の組織をつくるというものなのであり、原水協から組織的に排除された全学連の指針であって、総評傘下の労働組合に所属してたたかう戦闘的および革命的労働者たちの指針とはならないであろう。ここでは、全学連の指針と戦闘的および革命的労働者たちの指針とを区別しないで論じられているのである。学生運動ばかりではなく、反戦・平和の運動が党派的に分断されているものとして展開されているのである。

 このことから捉えかえすならば、学生戦線での運動と労働戦線での運動とをひっくるめて「大衆運動」というように呼ぶことはしないで、新たな段階であることを規定するときには、「「米・ソ核実験反対」の運動を現実的運動として展開しうる」というように「現実的運動」という概念をもちいるにとどめて、学生戦線での運動およびその指針と労働戦線でのそれとを区別して論じる、ということも可能であったのではないだろうか。

 「大衆運動のなかに物質化されている革命的組織」と言われているところの「大衆運動になかに物質化されている」というのは、何を意味するのかがよくわからない。「米・ソ核実験反対」という独自のスローガンを掲げた独自の大衆運動を展開しうるようになった、ということがきわめて重視されている、と思われるのである。このような独自の大衆運動の展開の仕方を、労働組合に所属してたたかう戦闘的および革命的労働者たちの闘いの仕方にもちこんだばあいには、きわめて大きな問題をうみだしてしまうことになる、といわなければならない。

 

 

 

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