アメリカ帝国主義を中軸とする現代帝国主義経済の特質は、金融資産と呼ばれる金融的バブルが急激に膨張しているとともに、このことが、IT(情報技術)・AI(人工知能)技術関連産業の発展と、これらの技術の直接的生産過程および事務部門、そして流通諸部門への導入にもとづくそれらの諸部門の技術化、そこで働く労働者たちの搾取と収奪の強化に規定されていることにある。

 帝国主義各国において、政府・金融当局は、リーマン・ショックと呼ばれる金融危機やコロナ危機をのりきるために、金融緩和政策をとり、膨大な国家資金を金融市場に投入するとともに、諸企業に直接的に注入してきた。このことが、金融市場と金融資産の急膨張をもたらしてきたのである。景気の過熱を抑えるために政策金利の引き上げがおこなわれてきたアメリカでさえも、この金融的バブルの膨張はつづいているのである。いや、株価はよりいっそう高騰しているのである。

 投入され注入された国家資金は、商品=労働市場にまわらないで、金融市場で運動する。第一次・第二次石油危機時の商品価格および賃金の高騰(物価と賃金のスパイラル)や、日本のバブル期の土地価格の高騰などを教訓として、投機屋ども(金融諸機関・諸独占体・個人投資家など)は、金融的利益をもとめて資金を金融市場で運用するからである。彼らは、階級的本能にもとづいて、労働組合の賃上げ闘争をよびおこさないために、物価を極端に吊り上げるようなことはしないことにしたのである。彼らが自分の享楽のために使う金額は、労働者にとっては目をむくような額であっても、彼らの金融資産の額にとってはほんの微々たるものにすぎない。

 現下の金融的バブルは、バブル(泡)をおおう皮が、伸縮性に富んだ超人工的ゴムのように、泡の中身がいくら膨れあがっても破裂しない、という特質をもつ。これは、この金融的バブルは、IT・AI技術関連産業を産業的基盤とすることにもとづく。インターネット・サービス商品は、仮想空間にただようものであって、いくらでも増えつづけることが可能なものだからである。リーマン・ショック時の貧困層への住宅の詐欺師的販売のように購入者が尽きてしまう、ということはないからである。現下の金融的バブルは、いつ・どのようにして破裂するのかは、誰にもわからない。価値法則は盲目的に貫徹するのである。

 IT・AI技術関連産業が飛躍的に発展し、諸産業の諸独占体は、この技術を導入して、直接的生産過程および事務部門、そして流通部門の技術化をはかった。諸産業の独占資本家どもは、これらの技術をあつかえる労働者たちを導入して、従来の労働者たちをお払い箱にし、新たに資本の労働組織として統合した労働者たちには過酷な労働を強いた。職場から放逐された労働者たちは、労働の意欲そのものを奪いとられるか、まだ技術化のすすんでいないサービス産業に流れるかした。

 アメリカの資本主義は、流入したヒスパニック系の移民の労働者とその子どもに、低賃金で働かせることによって経済規模を拡大した。これに反して、日本の資本主義は、少子・高齢化のゆえに新たな搾取材料をえることができず、急激に衰退した。これが、アメリカでは景気の過熱を抑えるために金利が高い水準に据え置かれているのに反して、日本では、最低水準に張り付いていることの根拠をなす。(そしてまた、日米のこの金利差が、投機屋どもが金融的利益をもとめてうごめく要因となっているのである。)

 諸独占体・諸中堅企業・諸中小企業は、労働力を奪い合っているのであって、この奪い合いに規定されて上昇した賃金にかんしては、物価を吊り上げることによってこれを相対的に低落させているのである。こうして、実質賃金は引き下げられているのである。これは、投入され注入された国家資金が金融市場にまわっていることにもとづくのではない。まさに、これは、プロレタリア階級闘争が壊滅させられ、労働貴族どもによって労働組合と労働運動が国家と企業に奉仕するものに変質されられていることにもとづくのである。これを打開しうるか否かは、プロレタリア階級闘争を新たに創造するわれわれの組織的闘いいかんにかかっているのである。

 

 

 

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