わが仲間から、マルクスの「仮象」についての提起があった。それをここに掲載する。

 

 

 『資本論』を読み返してみると、やはり第一章第四節の「商品の物神的性格」の中でマルクスは「仮象」の言葉を使っていました。

 ここの叙述の一番の核心部分、「だから、人々が彼等の労働諸生産物を諸価値として相互に連関させるのは、これらの物象が彼等にとって同等な種類の・人間的な・労働の単なる物象的な外皮として意義をもつからではない。その逆である。彼等は、彼等の相異なる種類の諸生産物を交換において諸価値として相互に等置することにより、彼等の相異なる諸労働を人間的労働として相互に等置する。」から始まる段落です。

 

「労働諸生産物は、それらが価値であるかぎりでは、それらの生産に支出された人間的労働の単に物象的な諸表現である、という後代の科学的発見は、人類の発展史において時代を画するものではあるが、しかし決して、労働の社会的性格の対象的仮象をおい払いはしない。」(長谷部文雄訳『資本論 第一部』青木書店、175頁)

 

 ドイツ語原文(1872年の第二版)は以下の通り。

Die späte wissenschaftliche Entdeckung, daß die Arbeitsprodukte, so weit sie Werte, bloß sachliche Ausdrücke der in ihrer Produktion verausgabten menschlichen Arbeit sind, macht Epoche in der Entwicklungsgeschichte der Menschheit, aber verscheucht keineswegs den gegenständlichen Schein der gesellschaftlichen Charaktere der Arbeit.

 

 つまり、商品経済の中では人々が相互に何の連絡もなく独立して労働を行っているのだけれども、この私的労働の生み出した労働生産物が商品として互いに交換されることによって、この商品を生産した労働がもともと社会的な性格を有していたかのように見える、ということだと思います。マルクスはこの段落末尾で、「商品生産の諸関係にとらわれた人々にとっては」事態はそのように「あらわれる」(erscheinen)と言っていて、仮象とその基礎としての物質的諸関係を区別できずに「仮象実在」などと言う笹大和巫女がいかに「とらわれ」ているのかを考えさせられます。

 

 

 

 

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