先に見たように、黒田寛一は、われわれが既成の労働運動・大衆闘争をのりこえていくという大衆闘争論的立場にたつこと、また、われわれが・腐敗した党派を直接的に革命的に解体するという党派闘争論的立場にたつこと、さらに、ソビエトたるわれわれが・現存する国家権力を打倒するという革命闘争論的立場にたつこと、こういったことを解明した。われわれが立脚すべきものとして明らかにされた立場は、すべて、われわれがわれわれの外に在るものを変革するという立場である。われわれはわれわれが創造し推進しているプロレタリア階級闘争を変革するという立場にたつのだ、ということを、彼は解明しなかった。

 これはなぜなのか。私は、このことを考えてきた。私が痛切に感じたのは、日本のプロレタリア階級闘争についても、反スターリン主義組織についても、まさに自分がそれをつくってきたのだ、という実感を黒田はもっていなかったのだ、ということであった。

 その出発点をふりかえるならば、動力車労組の闘いをつくりだしてきたのも、ケルンと呼ばれた労働者組織を創造してきたのも、松崎明であった。黒田は、彼と労働者組織の横に居てサポートする存在として自己を意識していたのであった。これは、最後までそうであった。

 黒田が全力を傾注してきたのは、労働者階級の外にある革命的指導部の建設と、その核心をなすところの・自己を継承する一人の革命的マルクス主義者を創造することであった。これは、ことごとく失敗に帰した。その候補として自分が選び育てようとしたメンバーを次から次へと「つぶしてきた」というのが、黒田の述懐であり、この述懐は彼の実感そのものであるといえた。

 黒田は、失意のうちに、『実践と場所』を歴史に残すことを意志し、そして残したのだ、といわなければならない。自分はこの組織を残したのだ、という自己の言葉は、自己の内面のこの空洞をおおい隠すものとなった。

 黒田の理論的解明は、彼のこの実存そのものに規定されているのだ、と私は感じるのである。

 

 

 

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