山尾行平さんから、「ボルディガと統一戦線戦術」論文での論述をさらにほりさげるための考察の文章が寄せられた。それをここに掲載する。

 

 

 コミンテルンの統一戦線戦術のジグザグ

                     山尾行平

 

 一九二二年三月のイタリア共産党第二回大会ローマテーゼにおける統一戦線戦術を労働組合レベルに限定したボルディガらに対してコミンテルンはトロツキー論文などで批判したのであったが、統一戦線戦術をめぐるその後(第五回世界大会まで)のコミンテルンのジグザグは以下の通りである。

 一九二二年一一月の第四回世界大会では、「上からの統一戦線」と「下からの統一戦線」を区別し、後者に力点をおきつつ、前者を追求する必要性も確認している。「統一戦線戦術の真の成功は、「下」から、労働者大衆自身の深部から、生まれてくる。しかし、そうはいっても、共産主義者は、一定の事情のもとでは、対立的な労働者諸党の上層部と話し合うことをも、拒否するわけにはいかない。」(「戦術についてのテーゼ一〇」『コミンテルン資料集第二巻』大月書店、二八八頁)

 一九二四年六月の第五回大会では、「もっぱら上からだけの統一戦線戦術」が全面的に否定される。統一戦線戦術は、「社会民主党系の労働者と無党派の労働者の最良の部分」を獲得するための戦術であって、「反革命的社会民主党の裏切り的指導者たちとの闘争に用いる戦略的駆け引きの戦術」であるが、「けっしてこれらの指導者たちとの同盟の戦術ではない。」(「戦術問題についてのテーゼ八」『コミンテルン資料集第三巻』大月書店、五五頁)これは党派間の同盟を否定したボルディガがはじめから主張していたことであり、何を今さらという感があるが、ジノヴィエフらがローマテーゼのボルディガらの主張に屈したわけではなかった。この転換には、無残な不発に終わった一九二三年の「ドイツ十月革命」の総括をめぐる論争が関係する。コミンテルンでのスターリン・ジノヴィエフ対トロツキーの対立、ドイツ共産党での「右派」ブランドラー・タールハイマー対「中間派」「左派」の対立のなかで、スターリニストは敗北の原因を社会民主主義者の裏切りに求めたのである。かくして、第五回大会では、「ファシズムと社会民主主義は、現代資本主義の右手と左手である。」(「戦術問題についてのテーゼ二」同前四八頁)とされ、一九二四年九月のスターリンの「社会民主主義とファシズムは双生児である。」(「国際情勢について」『スターリン全集第六巻』大月書店、二九五頁)という規定にいたる。

 

 

 

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