黒田寛一が、「既成指導部、とくに社共両党によって歪曲されている今日の労働運動をのりこえていくという実践的=場所的立場(=「のりこえの立場」)にたって」(『日本の反スターリン主義運動 2』281頁参照)というように論じたときには、われわれの労働運動の指針をどのように明らかにするのかという問題の理論的解明に、マルクスの実践的唯物論をうけついだ彼の実践論、われわれが学んできたところの実践論を、彼は適用したのだ、といえる。

 すなわち、彼は、われわれ人間主体が・われわれが対決する対象たる客体を変革するという論理、根源的には、われわれ人間的自然が外的自然を変革するという論理、この論理を適用し具体化しているのだ、ということである。われわれが対決する対象をなす外的自然は、それ自体、場所的には、われわれがわれわれの実践によってつくりかえてきたところの外的自然、すなわち人間化された自然をなす。この論理は、〈主体と客体の弁証法〉、簡単に〈主客の弁証法〉とよばれる。

 この論理は、さらにほりさげて考察するならば、われわれはわれわれのおいてある場所をなす物質的現実を変革する、という論理、すなわち〈場所の超克〉の論理を基底とする、といわなければならない。なぜなら、われわれのおいてある場所をなす物質的現実は、したがってわれわれが対決し・それの変革をめざす物質的対象は、それ自体、われわれという物質的存在とわれわれにとっては外的な物質的存在との二契機からなる、ということができるからである。そして、われわれがおいてある場所をなし・われわれがそれの変革をめざす対象たる物質的現実は、われわれがわれわれの実践によってつくりかえてきたものだからである。それは、われわれがつくりかえてきた対象的なものと、その対象的なものをつくりかえるために変革してきたわれわれ自身だからである。

 われわれは、われわれがプロレタリア階級闘争を推進するためのわれわれの実践の指針をどのように解明するのかという問題を明らかにするためには、この〈場所の超克〉の論理を適用しなければならない。

 われわれがそれに対決し・それを変革することを意志する物質的対象は、われわれがわれわれの実践によってつくりかえてきたところの階級的現実そのもの、したがってわれわれが現にいま創造し推進しているところの階級闘争の現実そのものだからである。それは、われわれ以外の党派的諸実体によって歪曲されたところの、われわれが関与していない階級闘争の現実であるのではないからである。

 マルクスは、「フォイエルバッハにかんするテーゼ」のなかの第1テーゼで言った。対象・現実・感性を、人間的な感性的活動・実践として、主体的にとらえなければならない、と。

 ここで、対象とは、われわれが対決する対象たる客体のことであり、感性とは、この対象に対決するわれわれ人間主体のことであり、そして現実とは、この両者をふくむ物質的現実そのもののことである。マルクスは、この物質的現実そのものを、われわれがこの現実を変革するために、われわれ人間主体がおのれの対象たる客体に働きかける活動として、すなわち人間的な感性的活動・実践として、主体的にとらえなければならない、ということを言っているのである。

 さらに、マルクスは、その第11テーゼで次のように言った。「哲学者たちは、世界をさまざまに解釈してきただけである。肝心なのは、それを変革することである。」と。

 われわれは世界を・この物質的現実を・変革しなければならない、ということを、マルクスは明らかにしているのである。

 われわれは、このマルクスの実践的唯物論をわがものとし、拠点としなければならない。

 われわれは、これをうけついだ黒田寛一の場所の哲学=変革の哲学をおのれのものとし、われわれはこの場所たる物質的現実を変革するのだ、この場所を超克するのだ、というようにアプローチしなければならない。

 

 

 

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