「革マル派」中央官僚派の「国際反戦集会」で基調報告者は次のように呼びかけたのだという。(「解放」第2784号2023年9月4日付)

 「彼は、あらためて、昨年の二月にプーチンが軍事侵略を開始したその時に、革マル派がウクライナ人民にたいして「レジスタンスで侵略軍を撃破せよ」「ロシアの労働者人民に『プーチン政権打倒』を呼びかけたたかえ!」と訴えたこと、また、すべての自称『左翼』の腐敗・堕落を弾劾したたかっていること、この革命性を確認した。そしてこうした呼びかけを発しえた主体的根拠を現在的に深く反省し、おのれのものとしようと訴えた。

 彼は、「ロシアのウクライナ軍事侵略とは『私たちにとってのハンガリー事件だ』とうけとめないわけにはいかない」と力強く述べた。そして「一九五六年のハンガリー事件と共産主義者としての主体性をかけて対決した若き黒田さんの『魂の転回』を追体験すること」を呼びかけたのだ。」

 反戦集会で、「昨年の二月」のことを「現在的に深く反省し、おのれのものとしよう」というのだから、これは異色だ。このことからすると、「こうした呼びかけを発しえた主体的根拠」を「昨年の二月」の時点では、東海地方の「革マル派」組織はもちえていなかった、ということになる。それで、一年半後の今も、「深く反省し、おのれのものとしよう」と訴えなければならないのだ、と言える。

 これは、いったい何をさすのか。「昨年の二月」にいったい何があったのか。

 これは、昨年の2月25日に、東海地方の「革マル派」組織が、「米欧帝国主義の軍事介入反対!」「米欧帝国主義の軍事介入を懇願するゼレンスキー政権を打倒せよ!」と書いたビラをまいたことをさす、と推論することができる。

 こう書いたビラをまいたことを、基調報告者は、いままた、自己批判しているのだ。そのように切々と訴えているわけなのだ。

 「昨年の二月」に、中央指導部が提起し、東海地方の指導部が自己批判し、全国の組織成員のすべてがそれを信じることにした内容が、「ロシアのウクライナ軍事侵略とは『私たちにとってのハンガリー事件だ』とうけとめないわけにはいかない」ということなのである。

 おお、なんと!!

 今回のロシアのウクライナ軍事侵略は、1956年のソ連スターリスト官僚によるハンガリーの労働者・人民の弾圧、ソ連軍のタンクをさし向けたその弾圧と同じなのであり、それゆえに、ゼレンスキーをはじめとするウクライナ民族の血叫びをわれわれは主体的にうけとめ、ウクライナ軍・領土防衛隊による、ロシア軍との戦闘を支持しなければならない、こうすることが、ウクライナ問題への共産主義者としての主体性の貫徹なのだ、というわけなのである。

 そうは言っても、これは神がかり的なお告げであり、中央官僚は、このことを物質的現実の分析としては何ら基礎づけることができないので、ただただ1956年の黒田の追体験をせまり、東海地方のメンバーたちはずっとそういう学習と自己納得にいそしんできたのだ、と言える。

 中央官僚は、どうあがいても、ゼレンスキー政府の軍隊や領土防衛隊を、ソビエトを結成してたたかったハンガリー労働者と同じだ、とは言えない。そこで、ロシアのプーチンらの側を、ソ連のスターリニスト官僚と同じだ、と言いくるめることに必死になったのだ、と言える。これが「プーチン=スターリニストの末裔」論なのである。

 これをいま、中央官僚は、「スターリニストの末裔」とする対象を、プーチンから「FSB強権型支配体制」と規定した支配の仕方の問題に重点移動させてきているのである。

 中央官僚は、自己保身と自己保存に必死なのである。とはいえ、東海集会のこの報告記事の筆者は、「革マル派が……訴えた」というように、「革マル派」を外在化して、すなわち、「革マル派」を自己の外側に措いて書いているのである。もう中央との心情的一体感はなくなった、というわけなのである。

 パソコンで「こくさいはんせんとうかいしゅうかい」と打って変換すると「国際反戦倒壊集会」となってしまった。

 

 2022年2月25日に東海地方でまかれたビラ

 

 

 

 

 

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