イタリアの共産主義組織=ロッタ・コムニスタは、1970年代以降を第四の時代(フェーズ)とし、この時代には、世界のあらゆる地域における民族運動は帝国主義勢力に利用されるものとなったのであり、われわれ共産主義者は民族運動を支持しない、というように明らかにしたのであった。これは、彼らが、プロレタリア世界革命を実現するために、プロレタリアートを階級として組織することを自分たちの任務とする、と表明したものであり、決定的な意義がある、と私は考える。

 そうすると、では、プーチンのロシアのウクライナへの侵略戦争と、西側の帝国主義諸国家に支援されたゼレンスキーのウクライナのこのロシアへの戦争は、「民族問題」というように捉えることができるのか、そしてまたゼレンスキー政権が組織し動員したウクライナ国軍と領土防衛隊の戦闘行動および国家を挙げての戦争遂行諸活動を「民族運動」と規定することができるのか、ということが問題となる。私は、両者ともに、否、と考える。

 ロシアにおいては、ブルジョアジーはプロレタリアートを経済的に搾取することを基礎として、政治的にはブルジョアジー独裁の帝国主義国家をうちたてているのであり、この国家の権力者は反NATOのロシア・ナショナリズムという排外主義的イデオロギーを流布し貫徹して、一切のプロレタリア階級闘争を破壊し、プロレタリアートおよび勤労大衆を国家のもとに民族として統合して、彼らを兵士として動員しウクライナに侵略したのである。

 これにたいして、ウクライナにおいてもまた、ブルジョアジーはプロレタリアートを経済的に搾取することを基礎にして、政治的にはブルジョアジー独裁の資本主義国家を樹立しているのであり、この国家の権力者は反ロシアのウクライナ民族至上主義という排外主義的イデオロギーをまき散らし貫徹して、一切のプロレタリア階級闘争を破壊し、プロレタリアートおよび勤労大衆を国家のもとに民族として統合して、彼らを国軍あるいは領土防衛隊として組織しロシア軍と戦わせているのである。

 したがって、この戦争は、ロシアという帝国主義国家とウクライナという資本主義国家が戦っているのであって、ロシアという民族とウクライナという民族とが戦っているのでは、決してない。ロシアのプロレタリアート・勤労大衆も、ウクライナのプロレタリアート・勤労大衆も、それぞれのブルジョアジー独裁の国家が流し押しつけたナショナリズムのイデオロギーによってその感覚もその意識もその行動までもが変えられて、その国家のもとに民族=国民として統合されたのである。ブルジョアジーによって搾取され収奪されている彼らは、ブルジョアジーの国家とは決定的に対立するのであって、彼らが、この国家の権力者に思想的に変えられ支配されていることが問題なのである。このゆえに、戦っている両者の関係を「民族問題」と捉えることはできないのであり、われわれはそう捉えてならないのである。そのように捉えるのは、国家権力者がふりまくナショナリズムのイデオロギーに汚染されたものなのである。

 また、ゼレンスキー政権が労働者・勤労大衆を組織し動員して遂行している戦争を「民族運動」と捉えることはできない。ウクライナのブルジョアジー独裁の国家の権力者が労働者・勤労大衆にナショナリズムのイデオロギーを貫徹して彼らを動員しているのだ、ということについては、すでに述べた。

 さらに、国家権力者が一切のプロレタリア階級闘争を破壊した、ということを、被支配階級の側から考察することが必要である。この戦争が勃発した瞬間に、労働者・勤労大衆の利益を守ると自称していたウクライナの政党・政治団体と労働組合の指導部は、ロシア軍と戦うためのあらゆる行動をおこなうことを表明し、組合員たちをそれに動員したのである。彼らは、ゼレンスキー政権がおしすすめてきた労働法の改悪に反対する闘いを、この瞬間に投げ捨て、祖国防衛主義=民族排外主義に転落したのである。国家権力者に呼応して、政党・政治団体・労働組合指導部が、みずから、プロレタリア階級闘争を破壊したのである。

 このようにして生みだされた、ゼレンスキー政権のもとでの・ロシア軍との戦闘と戦争遂行諸行動を、「民族運動」と捉えることはできないのであり、われわれはそう捉えてはならないのである。それは、その指導部の裏切りにもとづくプロレタリア階級闘争の敗北であり、壊滅なのである。

 21世紀現代において生起したところの、帝国主義戦争の今日的形態を、われわれはこのように分析するのでなければならない。

 

 

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