わがメンバーとともに左翼フラクションの成員たちが管理者に「賃上げ」を執拗に要求したにもかかわらず、管理者が「賃上げできない」という会社の回答をもってきたとき、いっしょにたたかった彼らは、言い知れぬ怒りをぶちまけるとともに、「こんな会社どうしようもない。他の会社にかわったほうがいい気がしてきた」と口走る労働者もでてくる。彼にたいして、「会社ってものはどこも同じだよ。ここで団結してがんばろう」と言っただけでは、彼は、どうたたかっていけばいいのかがわからないままとなってしまう。

 「会社=資本家は機械・原料などの生産手段を全部持っているんだ。われわれ労働者は何も持っていない。それで、われわれ労働者は自分の労働力を会社に売る以外にないんだ。会社は買いたたく。これがいまの事態だ。われわれは、ずうーと前からこんなんだったわけじゃない。生産者が生産手段を奪われたんだ。奪ったやつらが資本家になったんだ。われわれは、奪われた者の子孫なんだ。われわれは資本家から生産手段を奪ってみんなのものにし、資本家=経営者を労働者として働かせなければならない」、というようなことを、わがメンバーはしゃべらなければならない。

 左翼フラクションの成員たちは、先頭でたたかっているわがメンバーにあこがれているのである。あの人のようになりたい、と思っているのである。この人は何でこんなに熱いのだろう、この人は何をもっているのだろう、自分もこの人のように情熱的に生きたい、とわがメンバーに熱いまなざしを向け、発する言葉を食い入るように聞いているのである。

 わがメンバーは、自分はなにゆえにこのようにたたかっているのかを語らなければならない。わがメンバーは自分を語らなければならない。自分を駆り立てているものが何であるのかを問いかえしながら、そうしなければならない。

 「資本の根源的蓄積過程」を書いたマルクス、このマルクスの怒りと熱情を真にわがものとしえているのかを省みつつ、それをわがものとしてわきたつおのれを、わがメンバーは語らなければならない。

 マルクスは言った。

 「この新たに〔旧封建的諸制度から〕解放された人々は、彼等のあらゆる生産手段と、旧封建的諸制度によって与えられた彼等の生存上のあらゆる保証とを奪われた後に、初めて彼等自身の販売者となる。しかも、彼等のこの収奪の歴史は、血と火の文字をもって人類の年代記に書きこまれているのである。」(マルクス『資本論』第一部、青木書店版、1095頁——第七篇第二十四章第一節)

 「共同地……は、封建制の覆いのもとに存続した古代ゲルマン的制度であった。……共同地の暴力的横奪は、たいていは耕地の牧場化を伴うのであるが、十五世紀末に始まって十六世紀にも継続された。」「盗奪の議会的形態は『共同地囲込み法案』の形態であり、換言すれば、地主が人民共有地を私有地として自分自身に贈与する法令であり、人民収奪の法令である。」(1107頁——第二節)

 「ヘンリー八世、一五三〇年の条例、——老いて労働能力なき乞食は乞食免許を受ける。これに反し、強健な浮浪民は鞭打たれ、監禁される。彼等は荷馬車の横に繋がれて体から血の流れるまで鞭打たれ、しかる後、自分の出生地または最近三年間の居住地に帰って『労働につく』旨の誓いを立てねばならぬ。」「浮浪罪で再度捕えられると鞭打ちがくり返されて耳を半分きり取られるが、三犯になると当人は重罪犯人および共同体の敵として死刑に処せられる」(1121~22頁——第三節)。

 「エドワード六世、」「一五四七年の一条例」、「浮浪者が三日間ぶらぶらしていたことがわかると、その者は出生地へ送られ、赤熱の鏝をもって胸にⅤの字を烙印され、その地で鎖に繋がれて道路工事その他の仕事に使われる。浮浪民が虚偽の出生地を申告すれば、罰としてその地の住民または団体の終身奴隷とされ、Sの烙印をされる。誰でも浮浪民からその子供を取りあげて徒弟とし、男児ならば二十四歳まで、女児ならば二十歳まで、保持する権利を有する。」(1122頁)

 「かくして、暴力的に土地を収奪され、追放され、浮浪民とされた農村民は、グロテスクでテロル的な法律によって鞭打たれ、烙印され、拷問されて、賃労働制度に必要な訓練を仕込まれた。」(1125頁)

 「いずれの方法〔植民制度、国債制度、近代的な租税制度および保護制度〕も、封建制的生産様式の資本制的生産様式への転化過程を温室的に助長して過渡期を短縮するために、社会の集中的で組織的な暴力たる国家権力を利用する。暴力は、新たな一社会を孕んでいるあらゆる旧社会の助産婦である。それ自身が一の経済的力能である。」(1144頁——第六節)

 「資本制的生産様式の『永遠的自然法則』を産みだすためには、労働者と労働条件との分離過程を完成するためには、一方の極では社会的な生産=および生活手段を資本に転化させ、その対極では人民大衆を近代史の作物たる賃労働者すなわち自由な『労働貧民』に転化させるためには、かような骨折りを必要としたのである。もし貨幣が、オジエのいうように『頬に自然の血痕をつけてこの世に生まれる』とすれば、資本は、頭から爪尖まで、あらゆる毛穴から血と汚物とを滴らしつつこの世に生まれるのである。」(1155頁)

 「この転化過程のあらゆる利益を横奪し独占する大資本家の数のたえざる減少につれて、貧困・抑圧・隷属・頽廃・搾取の度合が増大するが、しかしまた、たえず膨張するところの、そして資本制的生産過程そのものの機構によって訓練され結合され組織されるところの、労働者階級の叛逆も増大する。資本独占は、それと共にまたそれのもとで開花した生産様式の桎梏となる。生産手段の集中と労働の社会化とは、それらの資本制的外皮と調和しえなくなる時点に到達する。この外皮は粉砕される。資本制的私有財産の最後の時が鳴る。収奪者たちが収奪される。」(1159頁——第七節)

 われわれは、マルクスのこの展開をわがものとして自分の言葉で語り、左翼フラクションのメンバーたちに、収奪者たちを収奪することを決断したプロレタリア的主体となることをうながすのでなければならない。

 

 

 

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