管轄区には宗教が一つしかないから、宗教学なんて成立しないんですよ」
エブニーザが一言付け加えた。
「説明するのは難しいわ」キーシャが窓の方向に目をそらした「もともとは神学の一種だったの。でも、イシュハは多人種国家で、昔からいろいろな国の、いろいろな宗教の人が集まる場所だから、アニタ教と他の宗教を比較する学問が生まれた。それが宗教学」
「アニタ教……の信者に俺は会ったことがないんだけど」www.brxysm.com
ヘイゼルやフランシスはアニタ教徒に数えていいのだろうか……とアンゲルは思った。二人とも、敬虔とか信仰とか、そんな言葉とは世界一遠い人間のように思えた。
「表向きは、イシュハ人の70%はアニタ教の集会場に属してるわよ。私もそう」キーシャがアンゲルの方を向いた「でも、ほとんどの人はアニタの集会には行かない。日曜日は家でテレビでも見て寝るか、セミナーに参加するか」
「セミナー?」
「今週もあるけど、よかったら行かない?モチベーションアップセミナー」
「なにそれ」
「やる気をUPさせるためのセミナー」ニューバランス レディース スニーカー
どうやら、宗教とは関係のない話のようだ。アンゲルとエブニーザは顔を見合わせた。
「来てよ。予約なしでタダで参加できるセミナーなんて滅多にないんだから」キーシャが急にうきうきし始めた「きっとあなたたちが私に会ったのは運命よ。何かの前兆、オーメンなんだわ」
意味がよくわからなかったが、二人とも、試しに参加してみることにして、資料室を後にした。
12-16アンゲルエレノアカフェ
アンゲルが図書館近くのカフェに入ると、窓際のカウンターにエレノア座っていた。
『倒れても立ち上がる方法』という本を読んでいる。
「フランシスに勧められたの」視線に気が付いたエレノアが、本を振って笑った「また落ち込んだら困るからって。ベストセラーで、本屋でもけっこうたくさん積んであったわよ」
「そう」
いわゆる成功本の一つらしい。ニューバランス
「それって読んでいいことあるの?俺にはいまいち理解できないんだけど」
「参考になることはあるわよ」
「エブニーザが図書館で女の子に会ったらしいんだよ」
「女の子?エブニーザが!?」
エレノアは大げさに驚いて見せたが、あまり興味を持っていなかった。でも、アンゲルの目には、エブニーザに女の子が近づくのを嫌がっているように見えた。
「宗教学の学生で、今度、一緒にセミナーとかいうのに行くことになったんだ」
「セミナー?自己啓発のようなもの?」
「そ