京丹後めぐり⑭~和貴宮神社と我野姫~ | NAVI彦 ~つつがなき神さまめぐり~

NAVI彦 ~つつがなき神さまめぐり~

神社めぐりをしています。
その土地ならではのお話も、
さくっとまとめてます。

大宮売神社

宮司さんから
紹介いただいた、

和貴宮神社へ
やってきました。




「わきのみや」の由来は、
籠神社で祀られていた

豊受大神(とようけおおかみ)を

合祀したことから、

籠神社の別宮という意味の
別の宮(わけのみや)
からきているようです。

ですが、

現在祀られているのは、

豊受大神だけではなく、

 

オールスター感謝祭というような、
名だたる神々でした。



原初神ともいわれる

天之中主神(あめのみなかぬし)
国常立尊(くにとこたち)

にはじまり、


伊勢の

天照大神と豊受大神、

 

天照の両親神である

イザナギとイザナミ、

 

海神の

海津見神(わだつみ)、

水神の

天水分神(あめのみくまり)は、

天照大神の正妻の

瀬織津姫(せおりつひめ)さま

のことでしょうか。

 

そして

道行の神や

天狗の化身といわれる

猿田彦神(さるたひこ)です。



このなかで
異彩を放っているのが、
我野姫命(カヤノヒメ)です。

古事記では
鹿屋野比売

日本書紀では
草野姫

と表記される、
草の神さまだといいます。

またの名を
野椎神(ノヅチ)ともいい、
蛇やミミズのような

妖怪ともされています。

しかしこれは、
「野つ靈(ち)」が由来であり
野(草)の精霊を
意味するのだといいます。

カヤノヒメを祀るため、
ここは
吾野(かやの)神社とも
呼ばれていたようです。



さらに、
ここはかつて
入り江だったらしく、
江之島(えのしま)神社とも
呼ばれていたようです。

江之島神社といえば、
対岸には、
江之姫神社があります。

江之姫神社は
港だったのではと
推測しましたが、

和貴宮は、
実際に港だったらしく、

港跡(津)を祀る宮から
「宮津」という言葉が
できたのだといいます。

ですから和貴宮神社は
宮津発祥の地と
いわれているようです。



宮津市内を歩いていると
突如あらわれる
和貴宮神社は、

都市部であることを
忘れさせるほど、

穏やかで
霊威に満ちた場所でした。

 


なにより

目を惹くのが

この磐座です。

 



こちらは
水越岩(みずこしいわ)

といい、

かつては
海中にあったとか、
波打ち際にあったとか
言われているようです。



「水越」というくらいだから、
海面から

ぽっこりと頭を出していた

のかもしれません。

またこの磐には、

海の神が
岩の上で釣りをしていた
という伝説もあるそうです。

ですからまたの名を
鯛釣岩(たいづりいわ)
ともいうようです。

さらには
波越巌(なみこしいわ)
という名称もあり、

神社も磐座も
数々の異名をもつようです。



太古から宮津には
国府が置かれ、

後年には
宮津城の城下町としても
栄えたといいますが、

この磐座から考えても、
神代からつづく
神社のひとつと
とらえて良い氣がします。



ここで再び

我野姫命(カヤノヒメ)に

もどります。

 

なぜこのような

波打ち際の磐座で

カヤノヒメという

草の神が祀られていたのでしょう?

 

カヤノヒメはほかにも、

漬物の神とか

タバコの神とか

灌漑用水の神とか

いわれているようです。

 

丹波の

薭田野神社では

野の神として祀られていました。

 

 

しかしながら、

カヤノヒメの

「カヤ」とは

「茅」のことなのだそうです。

 

屋根にしたり、

飼料にしたり、

燃料にしたりと、

さまざまに活用されていた

茅はとても重要視されていた

といいます。

 

ここは

河口もちかいので

 

もしかすると

茅原(かやはら)が

広がっていたのかもしれません。

 

 

また一説によると、

古代朝鮮半島の南には

「伽耶」国があったらしく、

 

カヤノヒメとは、

伽耶の姫なのではないか

という見方も

あるといいます。

 

日本の海を制した

古代海人族の地、

 

多くの渡来人が訪れ

文化を発展させたという

この丹波の地に、

 

伽耶国の姫が

訪れたということは

なくはない気がします。

 

 

ちなみに

古事記の系譜では、

 

イザナミとイザナギの

神生みによって誕生し、

 

大山祇神(おおやまづみ)を

夫として、

 

木花開耶姫(このはなさくやひめ)を

産みます。

 

富士山頂の

浅間神社にも祀られる

木花開耶姫は、

本名を「カヤツヒメ」というのだそうです。

 

 

さらには、

木花開耶姫は、

天照大神の子孫である

ニニギノミコトと結ばれ、

山幸彦を産みます。

 

山幸彦の伝説は、

浦嶋神社の伝説にも

通じるものがあります。

 

そしてその山幸彦は、

龍神の豊玉姫と結ばれて、

ウガヤフキアエズを産みます。

 

その名の由来は、

茅葺きの屋根をふくのが

間に合わなかった、

からきているといいますが、

 

ここにも

「カヤ」が混じっていますね。

 

 

そしてこの

ウガヤフキアエズは、

初代・神武天皇を

お産みになられます。

 

こうして代々と

「カヤ」を受け継がせた

我野姫をおもえば、

 

和貴宮の

偉大な祭神にならんでいても

不思議ではないのかもしれません。


 

↓よければクリック

↓お願いします。


神社・お寺巡りランキング

 

 

京丹後めぐり⑮ へ つづく

 

 

☆京丹後めぐり全記事リンク☆
京丹後めぐり① ~吉野神社と桜山~
京丹後めぐり② ~天橋立~
京丹後めぐり③ ~江之姫神社~
京丹後めぐり④ ~籠神社~
京丹後めぐり⑤ ~真名井神社~
京丹後めぐり⑥ ~麓神社~
京丹後めぐり⑦ ~浦嶋神社~
京丹後めぐり⑧ ~豊受大神と月輪田~
京丹後めぐり⑨ ~比沼麻奈為神社~
京丹後めぐり⑩ ~丹波道主と船岡神社~
京丹後めぐり⑪ ~藤社神社~
京丹後めぐり⑫ ~乙女神社と天女~
京丹後めぐり⑬ ~大宮売神社と古代祭祀~
京丹後めぐり⑭ ~和貴宮神社と我野姫~
京丹後めぐり⑮ ~元伊勢・皇大神社~
京丹後めぐり⑯ ~大江山と鬼伝説~
京丹後めぐり⑰ ~天岩戸神社と磐座~

京丹後めぐり⑱ ~まとめ~