テリー・ギリアムのドン・キホーテ | ぴいなつの頭ん中

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殻付き。そにっくなーすが言葉を地獄にかけてやる

ドン・キホーテは至上の狂気の体現なのだよ  狂気と言ってもわざわざ頭抱えて叫ばんでもよくて何かを強く信じそれに酔い続けることが狂気なんだよ信じる対象となる妄想は彼を包み込み彼を救う  人は自身を守るために妄想に包まれ妄想を守リ続ける  妄想に生きることは夢に逃げることのようでいてその人自身を生きるための必死の手立てなのだよ  


一度見せられたスターとしての高揚感快楽忘れられなかったんだよね  忘れられるはずもない  全ての元凶は田舎の靴職人である彼が田舎娘である彼女がトビーをして映画のヒーローにさせられたところから始まったんだきっとそれはとんでもなく楽しい日々だったのだろう  夢中にならないはずがない  映画ヒーローとしての日々を忘れられないあまりにドン・キホーテになってしまった彼はドン・キホーテに成り切ることによる火事場の馬鹿力でどんなことでも乗り越えていこうとする  妄想が強さを生んでいるんだ  砂漠の中の過酷な冒険もあんな豪勢な城の中で急に木馬に乗って月まで行けと言われたときも彼は勇猛果敢に目の前のことに取り組む   それは人間の強さだった  その人自身の強さだった  妄想を生むのはその人自身の考えや頭のつくりだ  あなたという人そのものの強さだったんだよ  なのに純真な妄想を利用して敵の仮装をして行動を辞めさせようとする者や笑いものにしようとする者たちが彼を追い詰める  奴らこそ我々の身近にもいるフツーを自称する人々じゃないかと思う  自分が妄想に駆られた経験を忘れ果てたのか?自分がまさか何者にも心を囚われるわけがないとでも思っているのか?しかし我々もときにそのフツーを自称する人々の皮を被り生活をしている  異常を否定し個性を嫌い嫉妬か疎外で塗り固める  知らないふりをする 夢を追うことは大事だと言いながら夢を人々に見せて与えておきながら夢を見る人を奈落の底へ突き落とす  夢を見る人に対してかくも現実は厳しいのだろうか  それとも監督の意地悪だろうか