見たかったもの | ぴいなつの頭ん中

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殻付き。そにっくなーすが言葉を地獄にかけてやる

毎日美味しい幸せを与えて運動をさせ、手から食べさせる

その手からでないと何一つ食することはなかった。

手術で3つに繋げられたからだの一つは呻き、一つは涙を流し、一つは完全に呆けて放歌していた。

階段のできるだけ断崖に隠れていれば星が二つしかなくても安全に隠れていられた。

この頭に浮かぶ無限の世界を説明する力がわたしにはなかった。ただただ、テントウムシを踏まないように歩くことしかできなかった。

人前では水は飲めない。大きな不安がそうさせるのだという。どこからともなく吐物の匂いが消えない。何でもかんでもフィルターを通して、綺麗にしてから体に入れる。どうして君はわたしには何も教えてくれないの。こんなにダメなやつなのにどうして妬まれるの。どうしてみんな、わたしに声をかけに来るの。どうしてみんな、わたしがうまくやったのを、彼ら自身のおかげだと思い込むの。俺が成長させたと。鐘の音は18時になったはずで、入る前にチャイムの音は聞こえたはずで、でもわたしはそれを無視した。肩をほぐすので精一杯で、文鳥に髪の毛をあんでもらっているところだったから。わたしを妬みに来たひとをわたしは無視するふりをして、それでも無視できない。わたしにあめない形でわたしの髪の毛はあまれてゆく。あまれる。アマレット。


実家には絶対にかえらない。かえれないから。文鳥がくちばしで髪を捻る音が耳元をやさしくくすぐる。声は変えられないのか。なぜ腰をかがめて歩くのか?それは恐怖がそうさせるのだ。自己防衛の気持ちがそうさせるのだ。見たかったけど見れなかったあらゆるもの。音など。大人の音なので、きみが愛されまくっていることが辛い。自分の化粧のしかたはわからないが、死化粧は心得ている。好きである。生前のことを思い出しながら、伝えて、わたしにだけ言ってくれたこと、と思い込んでいたあることないこと、呟きながら、独り言みたいに死人に声をかけ続けるのが好きだ。邪魔されたくはないんだ。DNRにおいて大切なこと。何よりも大切なこと。わたしが大切にしていることは、命を救うときの緊急性とは、かけ離れるようなのだ。死んだ後にしかやってこないわたしは、死神のようなものだ。