昭和レトロで見た目も可愛らしい、魅力的なラブホテルたちのこだわりの内装と外装、などなどを写真でわかりやすく解説した一冊。
ラブホテルなんか安いところがいちばん、とりあえずこの激情のいちばん高いうちに冷めやまないうちに、早く早く繋がらせてくれ!!!!!!愛し合わさせてくれ!!!!!!!という思考しかなかった今までの自分が勿体無いと地団駄を踏んだ。そして性の目覚めが起こる前に、閉店してしまった魅力的なラブホテルたちに一度行ってみたかった気持ちが、やり場もなく彷徨った。
フロントにどかどかと飾られた美しいシャンデリア、そしてお花、噴水、室内に太鼓橋、貝殻の形のお風呂、丸見えのお風呂、なによりなにより、スケベ椅子。少しはエロい生活を送ってきた自信があったはずなのに、こんな充実の装備に溢れたラブホテルが日本のいたるところにあることなんか全然知らなかった。車みたいなベッド、ペンケースみたいなお部屋、宇宙船みたいな空間。
ブルー・バレンタインという映画に、すごく魅力的なキラキラしたラブホが出てきて、そこで冷めきった夫婦がクンニするシーンがあったけれども、あれはものすごく冷めてるのにものすごく官能的だった。冷めた気持ちを盛り上げるために一生懸命装飾がキラキラしようと、愛は冷めたまま。そういうのは傍観してる身からすると異常に興奮するのである。
ラブホテルのウォルト・ディズニーと呼ばれる亜美伊 新さんのインタビューも読み応えたっぷりであった。最初は幼稚園の内装デザインをしていたが、そのうちラブホテルのデザインを頼まれるようになった、というくだりが最高に良い。幼稚園とラブホテルでは、考え方も違いませんか?という質問に対し、『発想は一緒ですよ。セックスしてる時はほとんど幼児語。難しいこと言わんでしょ』と答える亜美伊さん。そっか、そうなんだな、たしかにそうだ、人間の本質的な欲望を満たす時には、難しい考えや言葉はいらない。夢中の獣になってもいいんだわ。
車で行くような、地方のお城みたいなラブホテルも結構頑張っているし綺麗で細かいところまで飾りが行き届いてるから、ラブホテルに行くためだけの観光もありかもしれない、と思えました。
