ナイフのベクトル…恣意セシル
これは夜中の似合う小だ。それも真夜中、うしみつどき。エロティシズムを小説内のモチーフとして意味あるものにするには確固たる思想が不可欠である。優しさみたいな正解みたいな関係はいらなくて、突き刺しあうことで互いを確認する。彼女は言語的にナイフを持っている。彼は物理的にナイフを持っている。これは特殊な関係でなく、もっとも洗練された人間関係の生データなのではないだろうか。生まれてから、他人と関わってきて、いちども他人にナイフを向け、刺したことのない人なんて、いないはずだ。
美の魔術…ちょまっこりーな
私も茶道部だった!わーい!しかし茶道をやっていて宇宙を感じたことはない。美というのは、知識と感受性と有意味性の自覚、この3つが受け手に兼ね備わっていることではじめてこちらに微笑んで挨拶してくれる現象なのだろうと思った。エルンストの真っ赤なロプロプを見て、絵一つに頭が揺さぶられて動けない感覚を知ったことを思い出した。
ぼくらのはなし…馬場めぐみ
高校生のときの15時半くらいを思い出させる短歌集。部活のない日はこんな思いを西日にあててひとり悶々としていたなあ。ページ変わって最後の3作は、おとなになってからの感覚みたいに思えた。
むひひ。