オートカクテル耽美レビューその2 | ぴいなつの頭ん中

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殻付き。そにっくなーすが言葉を地獄にかけてやる

さて、昨日よりの、白昼社オートカクテル耽美のレビュー続きだよ。今日は第二弾だよ。気になったら買いなさい。

意識が頭蓋の意識する…山本清風

この作品の美しさは冒頭数ページに際立っている。テキーラサンライズに形容される点滴。(ルートがテキーラサンライズになるほど点滴をほっといてるということは、滴下が終了してからかなりの時間がたち、血管から血液が逆流してきている。早く取り替えな。)海月や出目金の点滴ボトル。中央配管に酸素、二酸化炭素、窒素、味の素だなんて、まずい病院食にふりかけたい。
廊下に出るとピアノの音が聞こえる病院て超いいな。とってもかわいい先生がちたちた爪を鳴らして遠ざかるの超いいな。ボリス・ヴィアンの世界のような、理想の病院描写が美しい。


色島…牟礼鯨

夏の青春、性春、記憶の各シーンが一個ずつ、ぱらぱらと、映画みたいにロールする。
     唇は嘘ついてをりラムネ玉
がいちばんすきだなあ。牟礼鯨さんに耽美を描いてもらえたらこんな世界かな、みたいな想像とかなり合致している一句なんだ。もしかしたら、この永遠の夏の島にいる若いふたりは、一生この島から戻ってこないのかな、というイメージが湧いてくる。流れ着いて帰りも知らず夏休み、潜った人にしかわからない水中花にだけ、ひみつを打ち明けるような。


はつ恋…霜月ミツカ
ひとつのラブソングのような耽美。
『わたしを、先生の好きにしてほしい』と望む可愛い可愛い少女を、できるなら無菌室に閉じ込めて守ってあげていたいけど現実的には無理。傷ついた心は愛を以っても完治はしないだろう。という諦念のような、ほんとうに愛を知ってほんとうに愛で傷ついてきたひとにこそわかる言葉が優しく美しく紡がれるところが、ミツカさんの小説を愛するいちばんの理由。

オートカクテル耽美。好きな作家が書いてる作品のレビューは書きやすいねえ。明日は第三弾の発表だよ。