痛そうだねって言われる傷ほど自分はあんまり痛くなくて、かわいそうっていわれる時ほど自分が愉快な時はなくて、君が眠そうに電話を切りたそうに返事しているこちら側ではもう薬とかいっぱい準備していて、そういう日は、危機感とか怖さとか忘れているうちに起こるって私よく知ってる。でもあなたはそれを知らないから知らないうちに大事なものを失ってわかるかもしれないよ。
あなたはどんだけあのおんなのことをこねくり回せば気が済むの。何回あなたの作品に登場させれば気が済むの。みつこみつこみつこみつこ。あの名前を聞くたび私はすごくかなしくなる。あなたに刻印を残したい。簡単に忘れられないような大きな印。なんどもなぞらずにはいられないような、食べるたびに痛む口内炎のような、ふとしたきっかけや匂いで吐き出してしまうような、日本刀にこっそり彫って語り継ぎたくなるような、そんな女になりたい。