さみしいの?仲間がいないでひとりなの?ライブハウスでは音楽を耳に詰め込まれて鼻から息ができない。口から息をすると歌になって出演者の邪魔をしてしまうからいつも息苦しい。だいたいライブハウスはハウスというほどおうちではない。ただ内輪の輪っかがベン図みたいにぶつかりあってはじけているからサザエさんの一家のようだ。そういう意味のハウスならば納得できる。
いつも大勢のひとから逃げていた、流行りのものや話題のものは怖かった。ちいさなころから、給食中に同じ班のやつから嘔吐物をぶっかけられそうな悪趣味で暗いものばかりが好きだった。クラスで流行りのものは恥ずかしくて見ているだけで赤面したけど、自分が好きな「げてものたち」はもっと恥ずかしくて誰にも言えなかった。
人生の瞬間に一生懸命がんばったことは2~3回あれど、喉元をすぎてしまった情熱は忘れられて自己効力感はのこっていない。だから学校や会社を病欠するたびにひとりぼっちのベッドで自分を罵り続ける。だったら休まなきゃいいのに、他のひとにうつしたら悪いわ、などと理由をつけてひとりぼっちのベッドをこねくりまわす幻想を夢見る。
ホールデン・コールフィールドを見つめてこいつクソだと笑いながら、笑っているのは理想化した自分を前提としたペルソナだという事実を見てみないふりをする。
きみのぶんがくは理解できないと多くのひとに投げ出されてゴミにされても、ちいさなせかいで文章を練っている時だけがしあわせ。だからあと3年ヤってみてから「ごめんね、すきなひとができた」って院長に告白して渋谷の壁という壁に自分の文章を直径5cm以上の細胞塊付きで貼ろうと思う。
サイコパス 看護師 で検索してもこの国にはいい作品などないようだ。もっともサイコパスになりにくい職業の上位だし仕方ないよ。更に言うとサイコパスっていうのは冷酷無慈悲で頭がよすぎるけど前頭葉が欠けている人のことだからそんな類で看護師になろうというのは10歳で人を殺したメアリーくらいだろう。
トライエージは麻薬検査。
昨年春、トライエージを受けてくださいと言われた時その異常な高料金に血圧が100以上上がった。薬物の名前を聞いただけで脳内ホルモンの分泌が狂うほどウブなくせにもし麻薬検査にひっかかったらどうしようと甘い期待をしていた。当然ひっかからないで楽勝パスして大学病院に勤めたけどそこでは精神を絞殺されて狂気がひり出てしまった。アスペルガーの検査にもぎりぎりパスして仕事には問題ないと言われたけど大学病院の締め付けはブラジャーの二億倍きつくてあっという間に放り出した。それからわたしはノーブラで生活するようになった。
上野のスラムで一緒だったラッシーみたいな顔した男はわたしのやめグセを安い焼酎飲み乍ら指摘した。けどそれって自分自身のことじゃない?って短気なラッシーを殴りつけた…なんてことはできなかった。ラッシーは今でも大事なともだちだ。
トライエージをパスしたわたしに鉄ヲタよろしく列車を眺める小説なんて書けるわけないでしょ?
あなたがどれだけわたしを理解しなくてもわたしはあなたをひとりにしないよ