人生に対する考え方だけではなく、感じ方まで変えてしまう、そんなほんがときたま世に出る。「心臓の暗号」がそうだ。この本は私たちの精神だけでなく、心臓まで開いてくれる。心臓にも知性があることを、ようやく脳も意識しはじめた。心臓の暗号とは、心臓の知性という生命の贈り物のことだ。
中略
その女性(精神科医)は、細胞は記憶し、心臓は考えるという私の主張を裏付けるような経験をしたという。「私の患者の8歳の女の子は、殺害された10歳の女の子の心臓を移植されました。女の子はドナーを殺した男の夢を繰り返し見ては、夜中に悲鳴をあげるので、母親が私のところに連れてきたのです。女の子は犯人がだれだか解っていると母親は言います。何度かセッションをしたあと、私もその子の話を否定しきれなくなり、母親とともに警察に通報することに決めました。すると女の子の話した特徴をもとに、容疑者が見つかったのです。彼女が提供した証拠が決めてとなって、その男の犯行だと断定されました。犯行時刻、凶器、場所、犯人の着ていた衣服、被害者が殺されるときに言ったこと・・・心臓移植を受けた女の子の証言は、全て正しかったです」
話を終えた精神科医が席につくと、科学的な教育を受け、現場でも経験を積んだ専門家たちは水を打ったように静まりかえった。ほんとうに心臓は記憶できるのかもしれないという可能性が、そこにいた全員の心の琴線に触れたのである。
心臓の暗号/角川書店

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