家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった
【ドラマ2023作品】
面白かった!号泣されられた!誰しもが共感できるエピソードがどこかしらある筈
初めに書いておく、長くなるよ。
2023年作品。当時、ドラマの賞を獲得したそうだ。
そして河合優実が主演。
この作品の演技を見て、大ブレイクのきっかけとなった
ドラマ『ふてほど』の純子役に抜擢されたという、エピソードがあるらしい。
昨年、作品のことは知っていて、障がい者ものかぁ、見ていて辛くなりそうだし、と、録画していなかった。
失敗だった、見ておけばよかった。
河合優実がブレイクしたからだろうか。
再放送してくれた。
今回はもちろん、河合優実主演なので、録画して見ました。
ただ、すぐには見なかった。
重そうなドラマだったので、心も体もゆっくりしている、今、見ましたよ。
一気に、と言っても、一話ごと、濃厚な内容なので、全10話見るのに4-5日かかりました。
一本が、映画一本並みに、見るのに体力がいりましたよ。
あまりにも濃厚で、一話ごとに、メモ。
見ていて、沸き上がった感情を、私自身、忘れたくなかったです。
笑ったり、ウルっときたり、くすっとした笑い、うんあるある、そして号泣。
心の中が、色んな感情で大忙しだ。
それほど、良かった作品。
・父親が若くして亡くなる
・弟がダウン症
・自分は、高校生活3軍
・社会人としての生きづらさ
・母親は、大静脈乖離で手術 ⇒ 車いす生活
・終盤 母方の祖母が認知症
この家族を世間は悲劇だという。
でもこの家族は、普通の生活であり普通の家族なんだ。
悲劇と書かれて悔しい思いを
自身の言葉で、ネットに書き綴って
出会いがあり、困難があり、ドラマになった。
各回の感想
1話
七実の、高校生活は、3軍生活(セリフにある)。唯一の友達は、マルチと呼んでいる、母親がマルチ商法やっているからだ。
七実の弟はダウン症だ。母と弟を見守り支援する大変さ。弟を彼氏に紹介すると、失恋する。
母親が、大動脈解離で手術し、命は助かる。
この回だけで、七実が、弟の支援者であり、母の世話をするケアラーになり、祖母のケアもするんだろうなと、苦労が見込まれた。わぁ、重い!と思うところだけど、演出に、コミカルなすくっと笑えるシーンや、ファンタジー(父の錦戸君登場)が、あったり、セリフが軽快だし、何より、七実のキャラクターが明るい。視聴継続決定です。
2話
母の落胆と世の中の車いす生活のしずらさ。
母と七実は死にたいとまで思う。
母が障がい者になり、謝ってばかりの生活。
七実は大道芸人になるとか、NYへいくとか、進路が迷走する。
だが、近畿大学へ進学し、福祉と経済学を学ぶことに。
学生企業ルーペとの出会い。
まだ母は、車いす生活になったことを、受け入れずにいる。
一歩街へ出ると、段差があり、階段があり、人混みをかき分けて車いすを押す七実の言葉は『すみません、すみません』だけだ。
本当にそうだ。子供が小さいときは、ベビーカーのときの段差階段。私も言ってた。『すみません、すみません』と。子供は成長するとすみませんの回数は減っていくけれど、車いすユーザーはそうはいかない。母親は、自分のことを子供たちの『お荷物』という。今は、私は、なるべくエレベーター、エスカレーターのルートで行動する。歩いたり階段は、端によって、邪魔にならないように歩く。とても遅いので、後ろから、舌打ちされることも、少なくない。邪魔者のような目つきで見られることもある。心の中は、『すみません、すみません』なのだ。その言葉に共感でした
3話
七実は母を元気づけるため 父が存命の時に行った家族旅行先沖縄へ行く。そのために、バイトする。
バイト先で出会った人と、父が亡くなったときのことを回想。
バリアフリーが充実している、沖縄旅行をして、前向きになる、家族。祖母は遠慮する。
沖縄のバリアフリーは、大したものだ。充実していた。
このプランを作成した、旅行会社の人も大したものだ。
私も、このようにハード面のバリアフリーが充実しているのなら、行ってみたい!
4話
七実のルーペでの活動が、実を結び、
駅のバリアフリー化のコンペを勝ち取る。
それには、母の、精神的な立ち直りと、
母の話術のおかげでもあった。
母は、精神的に立ち治って、夢を持ち、前向きになる。
4話までは、母の車いす生活の苦労と、
七実の頑張りと成長がメインでした。
母が立ち直ってよかったと、涙涙でした。
5話
七実は卒後もルーペの広報部長として働く。
しかし、会社でうまくいかない。
マルチタスクとオーバーワークで
細かい仕事のミスが続き、大きなミスに繋がる悪循環。
父の言葉『大丈夫』が七実の心に押しつぶされる。
この頃、ダウン症の弟は、カフェで仲間たちと働く。
明るい七実から、苦悩の表情。
見ていて、辛いなぁと思った。
その反面、弟の生き生きと働く様子は、ほのぼのとした。
6話
ネット記事に、家族のことを『悲劇』だと書かれたことがきっかけで、引きこもってしまう。そこから這い上がるきっかけは、弟のジェットコースターに乗るという提案だった。
父から 教えてもらったパソコン。
家族のことをSNSに投稿すると、いい意味でバズってしまう。
書籍化の話を受けたことで、会社を辞めることにした。
5話・6話と、苦しい展開だったけど、弟に助けられるのは、
涙でしたね。これって、障害あるなしにかかわらず、だよね。
あと、亡き父は、先見の明を持っていましたよね。
小学生の七実にPCを教えちゃうところが、後の七実の成功につながるのだから、人生に無駄なものはないと思わせてくれる。
七実の、褒められたい、認められたいという、欲求が、人生を切り開いていく。すごいなぁと思ったな。
7話
弟はカフェで仲間と支援者と 楽しく働いている。
七実は、東京で、ネットに投稿して、生計を立てている。
母から熱があると電話があり、帰省すると、
母は 細菌感染で手術することに。
面倒を見てくれていた、祖母は、娘の異変に気が付かなかった。
部屋は荒れ放題、祖母は家事が出来なくなっていた。
私は、若いころ、田舎から来てくれた母に何か月も世話になったことがある。その間、友達に会えず、こちらの生活にもなじめず、大変だったと思う。今もそうだけど、田舎から離れたくないと言うもんな。でも母、息子の友達のお宅にお呼ばれして、お茶してきたというのですよ。息子の参観日も参加して、親子レクとかも。おばあちゃん世代の方も、娘の代わりにとか参加されていて、婆友も作っていたんだよね。それもこれも私が元気になるまでの間、期間限定だったからできた事。ずっととなると、そうはいかないだろうな。切なくなったよ。
8話
祖母の認知症を認識する七実と母。
祖母の人生の紹介の回でした。施設から、奉公に出て、町工場をしている家に嫁入り。苦労したようです。
祖母は現実と過去の記憶を言ったりきたりしながら、娘を愛する気持ちと、娘が大病を患ったのは、自分のせいだと、『もっと元気に生んであげられんかったん…』と、涙します。
家族は、認知症を受け入れ、共に歩んでいく覚悟を持ちます。
七実はというと、ループ時代からの、仕事に対する甘え、人としての甘えをマルチから指摘され、大人になった回だった。二人の友情も再認識。
『もっと元気に生んであげられんかったん…』
ここで、みろる号泣でした。
私自身、こどもに何かあると、私のせいだと思うし。
周りからも、私のせいだと言わんばかりの言動があったし。
自分を責め続ける、祖母の涙に、自分をオーバーラップしてしまいました。
あと、マルチ役の福地桃子。独特の雰囲気を持っている女優さんですよね。この役に合っていた。
9話
おばあちゃんは、ケアハウスで生活するようになった。
七実の仕事の一環として、岸田家のドキュメンタリー撮影中に
弟の一人暮らしの計画が表面化。
母は受け入れれない。
グループホームにまずは体験。
弟は、夜中に一人で自宅に帰り、弟の元にちょいちょい召喚して登場していたパパから自立します。
別れの日は、涙。家族がそれぞれの場所で、暮らすことになった。
弟が、ひとり暮らしすると計画していたのを知った母の動揺が、みろる疑似体験でした。いつかは、私の息子たちも家からでて、一人暮らしするんだろうけど、実感わかない。今のところ、その兆候はないけれど、覚悟しているけど、その日がくるのはまだ先がいいと思ってしまう。息子を見送るシーンで、思わず追いかけそうになり、車から転落しそうになる母を、ダウン症の息子が軽々と支えたシーンでは、涙が止まらなかったよ。
10話
パパの目線 で、総集編
別々に住んでも、家族だというシメでした
かかわった人たちの、全員集合って感じ。
まるで大河の最終回のようでした。
ファンタジーと、コミカルなつくりで、5話からの重さから、解き放ってくれた回でした。
で、ですね
この話は、実話だし、実在する人物たち。
七実のブログというか、エッセイは、まだ続いております。
軽快な切り口と文才で、すっかり虜になってしまいました。
私の人生の楽しみのひとつとなりました。
ここまで読んでくださった方
ありがとうございました。
久しぶりに、熱く語りたい作品に出会えました。
覚書
ご本人 岸本七実=河合 優実
母 岸本ひとみ=坂井 真紀
弟 岸本草太=吉田 葵
父 岸本耕助=錦戸 亮
祖母 大川芳子=美保 純
友達 マルチ 天ヶ瀬環=福地 桃子
配達員 陶山克哉=奥野 瑛太
テレビ局の人 二階堂錠=古舘 寛治
出版社の人 末永繭=山田 真歩
IT企業の社長 小野寺柊司=林 遣都
【原作】
岸田奈美
【脚本・演出】
大九明子
【脚本】
市之瀬浩子、鈴木史子