私小説 -発達障がいのボクが純愛小説家になれた理由-
テレビ朝日
2023年春 スペシャルドラマ
2夜連続
感想 愛とは何か 愛するとは何か
いや・・。恐る恐る見た。
ノンフィクションだし、障がいというし
○○理由
と、タイトルが付くのは、
ネットで、好きじゃない。
障がい者と健常者の夫婦物ということで、
最近見た『僕の大好きな妻』と 比較してはいけないなと、
思いながら、見ました。
結果は、よかった。
流れるような、何かに身を任せるような
しなやかなドラマでした。
このご夫婦は、決して 妻が支援者になっていない。
ふたりで、寄り添って、生きている。
お互いを想いあって、生きている。
ふたりで一つとか、二人三脚とか
色々表現があるけれど、
私は、それだけじゃ足りない、深さを感じました。
前半 第一夜
夫婦の現状の生活がある。
主人公の作家であるジンと妻の優美。
ジンは、自分の特性を生かしながら、
執筆活動を行っている。
優美は、エアロビ?ヨガ?みたいな先生をしている。
ジンは、小説家だ。
冒頭、インタビューで、特性で混乱してしまうが、
妻がサポート。
それが自然なんだよね。
ジンは、乗り物や外出先での環境に身を置くのが困難だ。
取材依頼が来た。場所はフランスだ。
一度はやめようとするジンだが、
妻の優美がフランスに行きたいのでは?と感じており
引き受ける。
妻への愛がたっぷりなのだ。
たびの準備は楽しくて、ほほえましい様子。
交通機関の練習をしようと、近場にバスで出かける。
そこでジンは、リタイヤしてしまう。
みろるは、イヤーマフを使ってはどうか?と、思った。
結果、フランス行きは、断念してしまう。
一番落胆したのは、妻ではなく
ジンだったのだ。
もう それが愛だろって感じです。
第二夜 後半
メインは、二人の出会いから、結婚するに至るまでのお話。
出会いは高校生なんだけど、この頃から
優美は陣に興味があり、居心地がよかった。
クラスの生徒や、先生は、ジンの行動を理解しているようでした。
この頃から、相思相愛だったのね。
決して、ジンが一方的に好きだったわけではなく、
優美の方が、積極的だったかも。
ジンの会社員時代の方が、大変そうでした。
いやいや、定型発達でも、きついっしょって感じの職場のようでした。
最後は、二人の会話から、小説が書きあがり
ふたりが過ごした公園でラストでした。
小説を読みたくなる作品
活字離れが進み、今や、リアル本屋さんが
一軒もない市町村があるといいます。
確かに、我が家も本を買うのに、苦労します。
距離時間的にも、半日はかかるもんな。
だけど、いざ行ってみると、平ずみされた
売れている本。
これから、売り出したい本。
店員さんのコメント入りのポップに
購買意欲を掻き立てられる。
このドラマの主人公のジンさんの作品。
作中に、小説の一小節がテキストで画面に出る。
なんて、というか、どう言葉にしていいかわからないくらい
素敵な表現だ。
ひとつのシーンを、多角的に、言語化する技術に
才能という言葉以外に見当たらない。
しいて言えば、優美への愛のすべてが、
芸術なのだ。
暖かい気持ちになる、優しい気持ちになる
そんなドラマでした。
【覚書】
【キャスト】
伊佐山ジン=瀬戸康史
優美=上野樹里
【原作】
市川拓司「私小説」(朝日新聞出版)
【脚本】
岡田惠和