「ヒマ撲滅大作戦」が功を奏でたあの頃 | 住まうほど味が出てくる家づくり&図面描き

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インテリアコーディネーターのつもりが何故か家一棟の設計から現場監督までするハメに!?建築現場で培った家づくりのノウハウや、この業界のアレコレを綴っています。

住まい力を引き出す永瀬です。

 

今でこそ建築士として設計ばかりではなく、

女性では珍しく建築現場の統括したり、

見積もりや、販売促進に至るまで、

なんか色々やっていますが、

 

こんな私にも事務専門のOL

やっていた時代がありました。

 

◆「課長ハンコお願いします」…とか言ってました~

 

新卒で就職した会社が中堅不動産会社の

設計部でしたがわずか一年半で退職。

 

深夜残業が当たり前の日々、

上司の細かい指示とか、

社訓を唱える朝礼だとか、

そういうの、合わなかったのです。

 

そして憧れたのは普通のOL!

 

週休2日の9時~17時のお仕事です。

派遣会社に登録して憧れのOL生活が、

都内でスタートしました。

 

配属されたのが某一部上場企業の業務部。

 

経理部と総務部に提出する書類を

営業マンから預かってまとめる仕事でした。

 

◆お陰でマッハのスピードで電卓叩けるように!

 

大企業の事務職ってどこもそうなのかな?

与えられた仕事をそのままこなしてみると、

15時前には終わっちゃうんだよね。

 

終業時間が17時半過ぎだったので、

3時間も何して過ごそう…。

 

でも、遊んでいるわけにもいかないし、

この15時からの数時間が時間経つのが遅くて、

本気で窓際族の気持ちが分かる、

地獄の数時間でした。

 

実際、遊んでいたような人も居ました。

 

のちに分かったのですが、

その会社は強力なコネで入った人のうち、

数人はあまりにも仕事で使えなくて、

代わりで私が派遣されたのだとか…。

 

ホント、ドラマみたいに化粧室や給湯室で

上司やその使えない人のうわさ話だとか、

お財布だけ持ってランチ食べに行くとか、

 

私には全て新鮮で面白かった!!!

 

ただ、やはり15時前にはお仕事が

終わる状況は耐え難く、

 

「何かお手伝い出来ることはありませんか?」

 

と周りに声を掛けるようにしてみました。

すると皆さん出て来る出て来る…。

 

先ず与えられた仕事が通帳の記帳。

メインバンクまで歩いて片道15分の道のりを

喜び勇んで毎日のように行ってきました。

 

さ、ここで30~40分の時間潰しに成功です。

半年間で体重も5kg減って気分も上々(笑)!

 

ついでに郵便局も行きますけど~と言うと、

「切手買って来て!」

「この郵便物書留でお願い」

などのお使いがプラスされます。

 

ジッとしている方が死んでしまう

と思えるほど退屈だったので、

仕事に飢えていた私には、

どんなお使いでも恰好のエサでした。

 

そう。遊んで時間を過ごすよりも

とにかく時間の過ぎ方を早くしたかった。

 

だから、意図してなかったのにも関わらず、

そんな雑用から周りに感謝されて、

“仕事を頼みやすいポジショニング”

を得ました。

 

上の階へ郵便物を取りに行く仕事、

そしてそれを各部署へ配布する仕事、

営業先のスタッフの給与計算や入力…。

 

雑用から信用を得るようになった私には、

次から次へと仕事が来るようになりました。

 

ついには決算の補助まで手伝うようになり、

他の部署の業務も兼用。

 

みんなが私を頼ってくれているのも

実感出来ていました。

数年後には統括部長から

 

「社員にならないか?」

 

とまで言われました。

最初居た不動産会社の設計部では、

「使えない劣等生」

のレッテル貼られてた私が、です。

 

望んで入ったはずの設計の仕事より、

何となく始めた事務仕事の方が重宝された。

何故かと言うと手伝った後にその人から、

 

「ありがとうきら

 

喜んでもらえるのが嬉しくて、

私自身は純粋にその顔見たさの働きかけが、

結果としてその会社の人の役にも立っていました。

 

仕事は業種じゃないんだなあ。

 

仕事をする喜びや幸せって、

仕事をすることで得られる“コト”が

達成された瞬間。

 

つまり、業種や業態ってあくまでも形式で、

その向こう側にある仕事の目的の達成

だと私はそこで学びました。

 

私の場合は人の喜ぶ顔。

役に立っているという実感。

必要とされている感触でした。

 

さて。

結局、その会社とはどうなったかと言うと、

働いていた数年間のうちに、

 

「やっぱりモノづくりがしたい!」

 

と言う気持ちが沸き上がってきたので、

社員採用のお話は丁重にお断りして、

派遣期間の更新を行いませんでした。

 

最後の日のは花束をもらって

マジ泣きでした。

 

最初の思惑はタダの“ヒマ撲滅大作戦”だったのが、

人生って分からないものです。

 

 

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