摂食障害ではなく
エモーショナル・イーティング
という言葉があることをご存じでしょうか？
大食いとか過食とか
一般的にはそんな言い方のほうが
皆さんの記憶にはスイッチしやすいかもしれません
でも、大食いとか過食とか
たまに聞く摂食障害とか
それとはまた違う
エモーショナル・イーティング
そもそもそれってどんな状態でしょう？
もしかして、これを読んだ皆さんの中にも
爆発的な食欲であるエモーショナルイーティングを
体験した方がいらっしゃるかもしれません
エモーショナル・イーティングとは
身体的な飢えを満たすのではなく
感情的なニーズを満たすために
食べ物を使う方法です
悲しみ、孤立、退屈で淋しいなどの
自分にとって不快な感情に対処するために
食べるという行動をとってしまう
でも、食べたからと言って
感情的な問題が解消されるわけではなく
根本的なストレスの解消や軽減にはならないので
「また、こんな時間に食べてしまった」と
さらに気持ちは低迷してしまいます。
エモーショナル・イーティングは
アルコールやタバコ等の嗜好品による気分解消行動と関連しています
自分の周囲にタバコがやめられない人
お酒がやめられない人がいれば
少し観察してみてください
「また、こんな時間に食べてしまった」的な
エモーショナルイーティング（爆発的な食欲）
という行動をとってしまう自分と
ストレスの受け止め方や
ストレスの理解の仕方など
考え方の癖や共通点があるはずです
アディクション→
「それなしではいられない」状態にはならなくとも
エモーショナル→感情的に
イーティング→食べる
この状態から抜けられないのは
アルコール依存症にはなっていないが
あきらかに体調がよくないのにお酒をやめられない
そんな状態ととても良く似ています
それがいけない！という話ではないので
かたくなにならないで読んでくださいね
人は誰でも
疲れたから
深く眠りたいから
とてもさみしいから
なんとなくイライラしたから
というような理由で
自己治癒的にお酒を飲んだり
タバコを吸ったり
パチンコにふけることはあります
これをエモーショナルイーティングに当てはめると
自己治癒的にクッキーやチョコを食べたり
唐揚げやラーメンを食べたり
おせんべいやポテトチップスを1袋食べたり
思い当たった人はぜひ引き続きお読みください
エモーショナルイーティングを含む
自己治癒的行動は
アディクト（依存）的な特徴なのではなく
むしろ人間であれば誰しもが
心理的苦痛を感じた時にとる本能的な行動なのです
しかしここで大きな問題が浮かび上がります
何かといえば人によってその度合いが違うということです
エモーショナル・イーティングをする人すべてが
過食症など摂食障害に悩むようになるわけではなく
アルコール依存症や
ギャンブル依存症
SEX依存症や
買い物依存症などの
様々な依存症においても
依存症にまで発展する人としない人がいるように
ある人は機会使用者にとどまり
ある人はアディクションを発症してしまう
この違いがどこにあるのかが
なかなか説明することができない難しい領域なのです
しかしながら依存症予備軍であるという自覚を持ち
感情的な空腹感と身体的な空腹感の違いをしっかり理解しておくことは大切です。
通常は身体の空腹感が満たされると
気持ちも穏やかになり落ち着いてきます。
血圧も上がり体温も上昇するので食後に眠くなるわけです。
一方、感情的な空腹感は突然の衝動としてあらわれます
特定の食べ物を食べたくなり
食べ物を詰め込むように
あるいはだらだらと食べてしまう
数十分後お腹がいっぱいになった
自分の身体と向き合うことになり
後悔や罪悪感
恥ずかしさや情けなさが
押し寄せてきてしまいます
その押し寄せてきたストレスで
さらに何かを食べてしまう
そして、またお腹がいっぱいになってしまう
それを繰り返すことになったりしてしまうわけです
それではどうしたらいいのか
専門的に研究しているドクターたちの話を要約すれば
人が誰しも抱える生きづらさ
そこから生じる負の感情に対して
自己治癒的なアルコールや薬物の使用
あるいは過食やギャンブルなどは
他者との感情の交流が一切ない自己治癒的な方法
呑む・吸う・博打・過食
これらのような一人で単独で完結する行動以外に
ストレスに対処する方法を持っていないことこそが
アディクション（依存）の原因なのであるとされます
重症な依存症と
ほとんど依存症とは言えないほどの軽症な場合や
回復した依存症患者たち
いったい何が違うのでしょうか？
その違いが顕著に表れていた点は
心理的孤立の度合い
人に対する不信感の度合い
つまりは人に頼れない度合いであったとされています
機会使用者たちが機会使用のままにとどまれている理由は以下のようなものです
心理的苦痛が生じた時
アルコールや薬物などといった「物」や
パチンコや過食などの「単独行動」
上記以外に頼る手段をやレパートリーをもっている
ということでした。
摂食障害につながってしまう方は
エモーショナル・イーティング以外に
ストレスやさみしさの対処手段や気分解消法をもたないこと
とくに他者との感情の交流が乏しいことが大きく影響していると思われます
エモーショナル・イーティングが起きるとき
あなた一人の単独行動になっていませんか？
もしも、一人で何かを抱え込んで食べてしまうようなときは
覚えておいてください
食べ物に助けを求めるのではなく
あなたの周囲にいる人々に助けを求めましょう
でも、感情的な飲食から摂食障害に移行してしまうひとは
人に対する不信感や心理的孤立など
長年の生きづらさから強固になった
不信感が壁となってしまい
他者に助けを求めたくても
「助けて」を伝えることができないできないんですよね
助けを求められない自分のことを
さらに責めてしまい
また、エモーショナル・イーティングに頼ってしまう
この繰り返しの日々の中で
どんどん心理的に孤立してしまう
悪循環を生み出してしまうのです
どうにかしたいですよね
でも少しだけ読み進めてくださったあなたは
なにかヒントが得られたんじゃないでしょうか？
心理的苦痛が生じた時
アルコールや薬物などといった「物」や
パチンコや過食などの「単独行動」
上記以外に頼る手段をやレパートリーを持つ
これを目標にまずは日々を立て直していただきたい
そう願っています。
クッキーは何も解決してくれません
チップスは何も解決してくれません
唐揚げやラーメンは何も解決してくれないんです
言い換えたら
あなたはなにか解決しなければならないことを抱えている
（不安）や（さみしさ）や（絶望）や（妬み）など
一人では解決できない感情を抱えているのです
でも、それは決して変なことではないし
あなただけの話ではないのです
周囲に相談できる人がいなければ
医療機関や公的機関や悩み相談など
なんでもいいから使ってみましょう
また、自分の食べることで何を解決しているかの記録を
ブログなどを使って残してもいいかもしれませんね
その場では一人でも
「誰かが読んでいる」という意識は
誰かと共同作業していることと同じような効果をもたらします
また、思いを言語化することで癒しも得られます
クッキーの袋を抱えそうになったら
チョコの袋を抱えそうになったら
チップスを抱えそうになったら
自分は一人ぼっちで苦しんでいるということを理解してください
そして、そのような行動で罪悪感を感じているなら
もうその癒しとは「さよなら」したほうがいい
仕事を始めたり
習い事を始めたり
地域のボランティアに参加したり
方法はたくさんあることを忘れないでくださいね
「機能科学的にみたエモーショナルイーティング」
背外側前頭前野（DLPFC）の活動が低下し、認知制御の機能が低下してしまったために過食衝動を抑えられないと考えられています。落ち込み・不安・寂しさ・不満・イライラなどのストレスを感じているときには、ぐるぐる思考のネットワークであるDMN（デフォルト・モード・ネットワーク）が過活動になり、背外側前頭前野の機能が低下します。“食べる”行為は、手軽にストレスを解消し、DMNから離れることができるため、エモーショナルイーティングを繰り返してしまいがちです。
（ストレス食いの薬に頼らないTMS治療～エモーショナルイーティング～ より引用）
参考図書：小林『人を信じられない病 信頼障害としてのアディクション』日本評論社
参考HP:鳥取県依存症支援拠点機関 渡辺医院
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