雨が降ってから2日は経っていたけど、それまでの降雨量が半端なかったようで、屏風岩の愛好会ルートが殆ど水没してたり、雨に強い百獣の王の一部がびっしょりだったりと、なかなか悲惨な状態でした。
肝心のプロジェクトも左半分はびっしょり。それでも核心のホールドや足で使う部分は乾いていたのでやってみることにした。
十分に手足を乾かしてから核心に突入。ムーヴはオンサイト狙いの人のためにここには書かないけど、濡れてる部分は殆ど使わなくて済んだので助かった。何度もずり落ちそうになりながらも吼えて耐えて、腕も膝も傷だらけになってました。
やっとチキンウインクが決まるところまで上がって一息つく。核心を抜けた後もずっと苦しいワイドだったら途中で力尽きてたかも。それでも最後に両手を話せる終了点に立ち上がる時は、落ちないように全身のフリクションを使った。
開拓で泥まみれ苔まみれになるのは当然だけど、本当に日の当たらない場所にあるルートで、休憩中に真っ白な屏風岩や千両岩を見る度に自己嫌悪に陥りそうになった。それに今年ずっと日本にいるクライマーは同じ思いを抱えていると思うけど、SNSから入ってくるのは海外の青空と仲間の素晴らしい成果で、それに腹立たしく思う時もあった。
それに、今年はいつになく体の故障が多く、トライ中も怪我や故障で登れない日が続き、誰かもっと強い人に託した方が良いんじゃないかと思う時もあった。
そんな自分を支えてくれたのは、一度手を付けたプロジェクトを完成させる義務感と、俺は不動沢クライマーだー!腹の底から叫べる変なプライド。そして、若い頃から今まで不動沢や瑞牆で登ってくれたクライマー達がいたからだと思ってます。
そんな訳で、ルート名はクライマーとして成長させてくれた(人としてはダメになった…)不動沢の岩場と、共に登ってくれたクライマーに感謝して、「不動の日々」としたいと思います。
グレードは11台で登れたワイド(摩天楼、岩戸、未発表のとある11-くらいのワイド)と比較するとムーヴが段違いに厳しく、かと言って今や13あるらしい不動の拳程ではないので、5.11+~5.12-くらいかと思います。案外上手い人が状態良い時にやったらさくっと登るかもしれないので、5.10dくらいかも。忌憚なきご意見を聞かせてもらえれば幸いです。
プロジェクトをやる度に故障箇所が増えるわ岩と家庭の状態も悪くなるわで、登れたら暫く岩は休もうかと思っていたけど、登り終わって仲間のビレイをしていたら、早く他のルートをやりたくなってきた。不動沢だけでなく、まだまだ登りたいルートは沢山あるので、残り少ないシーズンも頑張りたいと思います。
不動の日々 5.11+~5.12- 13メートル
使用ギア C0.4~2番(0.5と0.75は2個) 開拓は上から回り込めないためエイドアップ(前進用でC3~6番も使用)
After