大宮さんの恋物語です。
あちらからの移行分です///。
楽しんでいただけたら嬉しいです♡
では・・・どぞ・・・///。
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いや。
そんな事・・・当たり前に。
気づいてたんだけど。
なぜか。
実感しないように。
気をそらしていたように思う。
どうして・・・そんな事思っていたのか。
マジでわからないんだけど。
和の方から。
俺にそれを意識させるまでは。
そう。
二人っきりだ・・・と。
気付かないフリをしたのかもしれない。
距離を感じないようにしていたのかもしれない。
っていうか俺。
なんで・・・そんな。
駆け引きみたいな事。
思ったりするんだろう。
「この間智さ・・・僕に・・・簡単に突き飛ばされたでしょ。」
「・・・。」
「だから・・・ひ弱なのかと思ってた。」
「ぁ・・・あれは///。」
「・・・ん?」
「あれはさ・・・いきなりだったから。」
「・・・。」
「不意をつかれたからであって・・・。」
「・・・。」
「ちゃんとわかって踏ん張ってればさ・・・」
「それなら僕だって倒れないよ///。」
「・・・。」
「でしょ///?」
「・・・。」
「・・・。」
「ん・・・だね。」
「フフ///。」
目を細めて笑う和。
太陽の光が波に反射して。
それが和の顔をきらきらと光らせている。
ぺっとりと額に張り付いた少し長めの前髪が。
目にかかって邪魔そうだ。
自然に手が伸びて。
その前髪を指ではらった。
目を閉じて。
それをじっと受け入れる和。
その目を閉じた和に。
素直な和に。
感じた事のない強い感情が沸き起こる。
その感情の名前が・・・上手く見つからないんだけど・・・でも。
心を許してくれているようなその仕草に。
心が。
ふわっと浮き上がるような感覚になる。
まるで無重力のような海の中の体。
その体と同じように。
心も・・・ふわっと浮いた。
「僕ね・・・。」
「・・・ん?」
上を向いた和。
空を見上げ。
甘えたような声で話し始めた。
「潤君以外の人と・・・二人きりで海入ったの初めて。」
「・・・。」
「・・・。」
「・・・え。」
「フフ・・・初めてなの。」
「・・・。」
「いつも・・・潤君と一緒だったから。」
「・・・。」
「みんなと入る時も・・・必ず潤君はいてくれて・・・。」
「・・・。」
「でも・・・。」
「・・・。」
「いつまでも一緒って訳には・・・いかないよね。」
なんて言ったらいいか。
わからなかった。
大事な弟の潤に対する強い思いがある反面。
いつまでもこうしてはいられないって。
客観的に判断している和もいるって・・・わかって。
そんな事思ってたんだって思ったら。
すぐには言葉が出なかった。
っていうか。
どうして急に。
和はこんな事を言いだしたんだろう。
そう言えば・・・昨夜。
同級生との飲み会があったはずだ。
そこで・・・何か。
何かを見てしまったんだろうか。
だとしたら・・・和は。
今・・・俺に。
何を・・・なんて言う答えを求めてる?
俺。
望んだ答えを言えなくて黙っちゃって。
潤以外と海に入った事ないって事にも・・・ちょっと驚いて。
で・・・初めてが俺だって事にちょっと嬉しくなったんだけど。
すぐに答えてあげられない自分に。
何やってんだ俺って。
カッコ悪いなって思って。
ちょっと自己嫌悪になったけど・・・でも。
そんな風に元気のなくなった和を見たら。
深く考える前に言葉が出た。
「兄弟なんだから・・・。」
「・・・。」
「いつまでも一緒でもいいと思うけど・・・。」
「・・・。」
「でも・・・もし俺でよければ・・・。」
「・・・。」
「・・・その・・・。」
「・・・。」
「///えと・・・。」
「潤君とじゃない『初めて』に付き合ってくれる・・・とか・・・?」
「・・・おう///。」
「・・・。」
「・・・。」
「じゃあ・・・そうしてもらおっかな。」
「・・・。」
「ちょっと頼りないけど。」
「んだよ///。」
「フフ///。」
目尻を下げて。
すごくかわいく笑うから。
俺も素直に笑った。
和がこんな風に笑ってくれるなら。
俺は全然潤の代わりでいいって思った。
気持ちいいね
和が空へと手を伸ばした。
その瞬間・・・ふわっと。
潮風を感じる。
もうずっと。
こっちにバイトに来てから。
潮風なんていつでも感じていたけど。
今感じる潮風は。
何か違っていて。
少しだけ甘く感じて。
気持ちがよくて。
なぜか。
今までで一番夏を感じた。
つづく