Asterisk 14 | ナツコのブログ

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フォ〇ストで2016年4月からアップしておりました大宮さんの恋物語の過去作です。

 

全編サトシ語りです。

 

毎日20時更新予定です。

 

楽しんでいただけたら・・・どぞ・・・♡

 

 

 

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「ジュン!」


叫んでも届かない。

バイタルを見る。

正常値を示しているけど。

・・・。

・・・。

応答がない。

命綱を巻き取ろうとしたけど。

船体のどこかにひっかかっているようで。

少し巻き取っただけで。

ガクガクいい止まってしまった。


「ジュン!」

「脳震盪を・・・起こしてるかも・・・。」


自分も頭を軽く抑えたままのショウが俺の横に並ぶ。

そのショウの後ろ。

カズが。

 

イスにもたれたままうつろな瞳で俺を見ていた。


「キャプテン・・・中にいた俺達でもあれだけの衝撃だ。」

「・・・。」

「もろに受けたジュンは・・・どれだけの・・・」

「キャプテン!隕石群が来る!」

「・・・!」


マサキの大声につられレーダーを見る。

小規模の隕石群がやってくるのが見えた。

さっきの衝撃波に影響されて。

どこかで生まれた隕石群だ。

多分・・・到達まで十数分。

船内にいれば・・たとえぶつかっても大したことのないくらいの大きさだけど。

今。

船外にいるジュンに。

もしも・・・ぶつかったらひとたまりもない。

いや・・・例え。

ぶつからなくても。

命綱が切断されたら。

ジュンは広い宇宙空間に。

放り出されてしまう。















「ジュンを助けに行ってくる!」


マサキが。

部屋を出て行こうとする。

その肩をつかんで言った。


「マサキ・・・その骨折した腕では無理だ。」

「キャプテン・・・。」

「俺が行く。」

「・・・。」


しばしの沈黙。

ジュンを助けに行くとはいえ。

隕石群がやってくる中・・・船外活動をすることになる。

時間との勝負で・・・もし間に合わなければかなり危険だ。

でも。

・・・。

・・・。

ショウは・・・船外活動の訓練を受けてはいないし。

カズはもちろん論外。

マサキがケガをしている今。

行けるのは。

俺しかいない。


「サトシ・・・。」

「ショウ。ジュンに呼びかけ続けてくれ。」

「わかった。」


ショウが。

真剣な瞳で頷く。

俺は。

 

マサキの肩をつかんで言った。



「マサキ・・・俺とジュンに何かあったらお前がこのガイア5のキャプテンだ。」

「・・・。」

「航行ルートはインプットされているし。」

「・・・。」

「アスタリスクに近づけば・・・遠隔操作をしてもらえるから。」

「・・・。」

「着陸は向こうに任せろ。」

「・・・。」

「わかったな。」

「・・・。」

「返事。」

「・・・わかった・・・。」


俺はマサキに。

隕石群のガイア5への詳しい到達時間を計算し。

俺に伝えるように言った。

そして。

・・・。

・・・。

イスに座ったままの愛するカズに。

・・・。

・・・。

カズに。

・・・。

・・・。

触れたかったけど触れずに。

そして言いたかったけど何も言わずに。

コントロールルームを出た。

飛ぶようにして廊下を進み。

そのまま船外へと出られるエアロックに入った。

エアロックとは。

船内と船外を結ぶ・・・気圧を変化させる無重力の部屋のようなモノで。

ここで宇宙服に着替えることになる。

ジュンも。

ここから出て行った。














壁に吊り下がった宇宙服に自分の体を入れる。

留め具を留める手が若干震えている。

俺しかジュンを助けられない・・・というプレッシャーと。

隕石群がやってくる・・・という時間的なリミット。

そして。

もしかしたら。

もしかするかもしれない・・・という恐怖。

それが。

現実として降りかかる。

大きく深呼吸をして。

頭を軽く振る。

もう一度。

さっき震えて止められなかった留め具に手をかけるけど。

やはり・・・留められない。

体を脱力させ目を閉じて。

もう一度大きく深呼吸をする。


「隕石群・・・到達まであと9分30秒!」


マサキの大声が。

エアロックの壁のスピーカから聞こえた。

あと9分30秒の間に。

宇宙服を着てエアロックの圧を変化させ船外へ出てジュンを助け。

またここに戻ってくる。

脳内で瞬時にシミュレーションをする。

ギリギリだ。

ここで・・・宇宙服を着るのに。

時間をかけている場合じゃない。

俺は。

もう一度・・・留め具に手をかけた。






つづく