大宮さんの恋物語です。
毎日20時更新予定です。
ではでは・・・どぞ・・・。
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Side.O
「こうだよ。」
・・・と言い。
ひょいっと・・・ニノの細い手首を後ろから持って。
その親指を押しながら・・・ヒラリ・・・と手首を回転させた。
「ぁ・・・できた・・・ぁっ///。」
近い距離で・・・ニノが俺へと振り向いた。
瞬間。
「・・・っ///。」
至近距離に・・・息が止まる。
多分・・少し唇をかすめたニノの頬。
一瞬・・・強張るニノの体。
俺も・・・ニノの手首を握る手に力がこもる。
目の前には艶やかでふっくらしたニノの赤い唇。
数秒・・・見つめ。
でもすぐに。
見すぎだろ///と気づき。
無理やり視線を引きはがした。
けど。
今度は茶色い宝玉のような瞳と視線が合い・・・見つめあう。
ニノに捕らわれた俺。
唇に残る触れた肌の感触。
まるで・・・おもちのようで。
同年代の男性とは思えない・・・そのきめ細かい肌に。
体の奥から・・・熱がこみ上げてくる感じがした。
「・・・ね・・・ぇ。おーのさん。」
「・・・ん。」
そのままの体勢。
じっと・・・二人見つめ合ったまま。
「映画の中の二人だったらさ。」
「・・・。」
「ここ。多分キス・・・するところ・・・だよね。」
「・・・ん。そう・・・だね。」
映画の中の二人は・・・すでに付き合いも長くなっていて。
だからニノが言うように・・・あの二人なら多分キスする場面だろう。
俺達も・・・リアルで長く恋人同士のフリを続けているから。
互いの体に触れるのは・・・今のようにもうそんなに躊躇ないけど。
キスだけは・・・リアルでも撮影でもまだしていなかった。
いや・・・映画の中の二人はもうとっくにしている関係なんだけど。
あえて演技でそこを見せてはいなかった。
もちろん・・・この先。
キスをする場面はある。
「僕と。してみる・・・?練習。」
「・・・ぇ・・・。」
「キスの。練習。」
「・・・。」
至近距離でニノの唇から言葉が発せられる。
ふわっと香るアルコールの匂い。
テーブルを改めて見下ろす。
缶ビールの空き缶が・・・転がっている。
思ったよりも・・・酔っているのかもしれない。
目も・・・さっきよりもちょっとトロンとしているような・・・。
・・・。
・・・。
せっかくのお誘いだけど。
なんか・・・うん。
こういうのは。
酔った勢いでとかじゃなくて。
もっとちゃんと。
・・・。
・・・。
いや。
酔った勢いじゃないと。
リアルでキスなんてしてもらえないかもしれない。
だったら・・・チャンスなのか・・・?
妙なジェントルは捨てて。
キス。
しちゃう・・・?
いやいや・・・酔っているなら。
やっぱりそういうのは・・・。
「フフ・・・はい~時間切れ~。」
「・・・え//。」
「ブブ~!・・・もうキスの時間は終わりですぅ〜。」
「・・・。」
自分の唇の前で。
指で小さな×を作り。
クスクスと。
嬉しそうに体を揺らして笑っているニノ。
一瞬・・・あっけにとられた俺だけど。
そんな・・・楽しそうに笑うニノを見ていたら。
なんか体の力が・・・すっと抜けた。
終わりってなんだよ///って思いつつ。
こんな時でも。
ニノはかわいくて・・・俺の心をぎゅっとつかんで離さない。
至近距離のまま。
くるん・・・と体ごと振り向くと。
俺と向き合うニノ。
「考え過ぎよ・・・おーのさん///。」
「・・・だって・・・///。」
「直感直感。大事でしょ?直感。」
「・・・ん///。」
「フフ・・・でもまあ・・・うん。」
「・・・。」
「練習は必要かもね。撮影ではキスするんだし。」
「・・・ん。」
「ぁ・・・でも僕。この間おーのさんにキスされたよ?ここに。」
「・・・え。」
ここ・・・と言いながら。
自分の額をさすニノ。
え。
・・・///え?
俺・・・した///?
.
つづく