大宮さんの恋物語です。
毎日20時更新予定です。
ではでは・・・どぞ・・・。
*************************
Side.O
舞台裏へと階段を駆け下りる。
ライブは終盤。
最後の衣装替えだ。
ここは・・・時間がない上に早替えの衣装に着替える為。
2重の衣装を着ることになる。
俺は駆け下りながらシャツのボタンをはずし・・・自分のブースへ入るとすぐにパンイチになった。
ささっと・・・タオルで汗を拭き。
次の衣装に袖を通す。
隣で・・・翔君の。
ああーーーもうっ!と言ういら立った声が聞こえる。
いつもそう。
汗かきな翔君は・・・衣装替えに苦戦する///。
服が肌にまとわりついて。
すんなりと着れないらしい。
風送って!というスタッフさんの声も聞こえてきて。
いつも隣はてんやわんやだ。
とはいえ・・・俺の方も。
そんなに余裕はない。
急いで・・・ボタンをはめる。
ここは・・・福岡。
3Daysの最終日。
ここが終わると・・・残すところ大阪のみ。
俺は映画の撮影をしながら。
翔君はドラマの撮影をしながら・・・のツアー。
確かに大変だけど。
翔君もがんばっている・・・と思うと。
俺もがんばれた。
さらには・・・ニノ。
こうして・・離れていても。
ニノの存在が俺には大きくて。
LINEのやりとりや電話のつながり。
そんなことで・・・いつもそばにいてくれているような気がして。
何を歌っても・・・ニノの顔がちらつき。
歌に熱がこもるのが・・・自分でもわかっていた。
「ぁ・・・大野さん!」
「・・・ん?」
チーフマネージャーが。
カーテンから顔を出す。
「明太子。いくつにします?」
「・・・え。・・・今///?」
「はい。今です。あとで空港で受け取るんで。」
「・・・。」
「いつものように。小一つでいいですか?」
「・・・。」
この忙しさなかに。
お土産の明太子の数を聞きにくるマネ。
そう言えば・・・以前も。
こうして・・・本番途中で。
明太子の数を聞かれたような・・・。
・・・。
・・・。
ホント・・・マイペースだな///。
「ぅん。小一つで。」
「はい。わかりま・・」
「いや。ちょっと待って。」
「・・・はい?」
「やっぱり。・・・大にして。大一つ。」
「え。大ってけっこうおっきいですよ?」
「うん。知ってる。」
「賞味期限が確か・・・」
「いいから。大一つで///。」
「・・・わかりました。」
まだ。
首をひねっているマネ。
それもそのはず。
いつも俺は小一つだから。
たまに・・・実家に行く予定があるときは。
その分頼む事もあるけど。
でも・・・それだって小2つだ。
そうじゃなくて。
大1つっていうのは・・・。
一緒に食べる相手がいるってこと。
もちろんその相手はニノのことなんだけど。
俺とニノが同居しているのは。
俺専属のマネージャーしか知らないから。
この人が不思議がるのも無理はなかった。
あと30秒です!
スタッフさんの声で我に返り。
俺は・・・急いでズボンのベルトを締めた。
帰りの飛行機。
東京への最終便。
乗りこんで・・・離陸して。
今ほっと一息ついた。
スマホを取り出し・・・ニノからのLINEを見る。
おつかれさま・・・という文字と。
いくつかのスタンプ。
そして・・・待ってるからね・・・の言葉。
どんな顔して・・・これを打ったのか・・・と想像すると。
自然と頬が緩む。
当然これも・・・疑似恋愛の延長なんだろうけど。
もう・・・自分の中で改めてそれを思い出すことをやめていた。
ニノの言葉を・・・ただ素直に嬉しく受け止めるだけだ。
好きの思いにストッパーをかけなくなってどれくらいになるだろう。
本当に付き合っている様なそんな感覚で。
今の俺はニノと接している。
だって。
こんなこと・・・俺の人生できっと二度とない。
だったらもう。
乗っかって。
めいっぱい愛そう・・・と決めた。
そう決めてからは・・・いろいろ全部うまくいっているような気がして。
たとえ。
本当に疑似恋愛だったとしても。
心が安定しているんだ・・・と気づく。
きっと・・・ニノがちゃんと。
俺を愛してくれているからなんだと思う。
それがたとえ・・・疑似だったとしても。
つづく