大宮さんの恋物語です。
毎日20時更新予定です。
ではでは・・・どぞ・・・。
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Side.N
明日の入り時間を確認し。
まだ何か言いたそうなマネージャーに・・・お疲れさま・・・と別れを告げ。
マンションエントランスへと入った。
マンションというよりは・・・ホテルのような明るいキレイな廊下を進み。
エレベーターに乗りこむと。
最上階を押した。
「最上階だって。」
「・・・ん。」
「なんかさ。」
「・・・?」
「至れり尽くせり・・・的な?」
「・・・ぅん。」
「そんな感じするよね。」
「・・・ん。」
「・・・。」
「・・・。」
「・・・。」
「・・・。」
「おーのさん・・・緊張してるの?」
「///いや・・・ぁ・・・あ~ぅん。ちょっとね///。」
「もう告白シーンは終わったけど?」
「いや・・・そうじゃなくて・・・///。」
「そうじゃなくて?」
「これから・・・その・・・一緒に暮らすから・・・///。」
「それが理由?ずいぶん素直に言うのね///。」
「隠したって。ニノにはばれちゃうから。」
「そうね。ばれるね。」
おーのさんはわかりやすい。
特に僕の前では。
あまり飾らないから・・・余計にわかりやすいっていうのもある。
なんか・・・うん。
正直僕は。
全然緊張してないんだけど。
おーのさんは緊張するんだ・・・って。
あんな告白しておいて・・・緊張するんだ・・・って。
なんか・・・ちょっと新鮮な気持になった。
って言うか・・・ね。
どうして監督が二人一緒に暮らすことを提案したのか・・・を考えると。
おーのさんには早く緊張は解いてもらった方がいい。
それに・・・なんか早くしないと。
おーのさんがまとう緊張のオーラがすごくて。
僕の方がひきずられそう。
僕はこんな風に・・・人の感情にひきずられることはあんまりないんだけど。
おーのさんは・・・何て言うか波長が合いすぎる感じがして。
さらにはわかりやすいから。
心にダイレクトにおーのさんの感情が流れ込んでくるよう。
そして・・・それを。
なんとかしてあげなくちゃ・・・と思ってしまう。
こういうところは・・・何年経っても変わらない。
あの頃の・・・研修生の頃のままだ。
部屋の鍵をあけながら・・・ふっと小さく息を吐く。
さっ思いついたおもしろいこと。
なるべく早めに。
いやもう。
すぐに言った方がいいな・・・って思った。
だから部屋に入って。
他の部屋を見る前にすぐに。
リビングのソファーにおーのさんを座らせて言った。
こういうのって。
先手必勝。
最初の空気が肝心だって思ってる。
僕の・・・「座って。」の言葉に。
居心地悪そうに座るおーのさん。
濡れて乾かしたから・・・前髪が下りていて。
そんなの・・・久しぶりに見たからなんだか新鮮で。
ちょっと幼く見えるし。
何を言われるんだって・・・眉根を寄せて僕を見ている感じが。
緊張通り越して・・・なんか僕にちょっと恐怖をかんじているように見えて。
でも。
なんか・・・助けて欲しそうな顔をしてるから。
どっちなのよ///って。
思わず笑ってしまいそうになった。
「あのね。」
「・・・はぃ。」
「なんで敬語///?」
「いや///なんとなく。」
「ちょっと。逃げないでよ。」
「逃げてないよ///。」
明らかに。
僕から逃げるようにしてソファに座り直したくせに。
逃げてない・・・って言うおーのさん。
でもこの人の場合。
決して嘘をついているわけじゃなくて。
多分・・・逃げるつもりはホントになくて。
でも。
何か・・・無意識に・・・と言うか本能的に。
僕から離れたのは事実。
それほど緊張しているのか・・・と。
ちょっとかわいそうになっちゃって。
あまり・・・強く言うのをやめて。
攻めるのも止めた。
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つづく