大宮さんの恋物語です。
毎日20時更新予定です。
ではでは・・・どぞ・・・。
*************************
Side.N
やっとおーのさんの笑顔が見れて。
ひとあんしんの僕。
多分・・・役柄に引っ張られてたんだと思う。
それほどの告白シーンだったから。
僕だって。
じんときちゃったし。
ぁ・・・そうそう。
一つ聞きたいことがあったんだった。
「ねぇあの。キャップ飛んだのって演出?」
「いや・・・偶然///。」
「ホント?なんかすごくない?」
「すごいよ///本当はニノが走り寄ってきた時に自分で取る演出だったんだけど。」
「へぇ・・・よく止めなかったね。演技。」
「言われてたから。雨だし何かイレギュラーあるかもしれないけど演技は続けてくださいって。」
「・・・まあ・・・カットがかかるまでは止めないよね。何があっても。」
「ん。」
「そっかぁ・・・あれは偶然なのね。」
「そう。だから撮り直しかもしれない。キャップを撮るタイミングがずれたから。」
「ううん。監督はきっと今のでいくと思う。そこは。」
「・・・。」
「なに?」
「いや。ニノが言うならそうなんだろうって思って。」
「なによそれ///。」
「褒めてるんだよ・・・///。」
フフ・・・と。
ちょっと笑いながら照れて言うおーのさん。
伏せた視線が・・・ちょっと色っぽくて。
少しどきっとしたけど。
完全に元通りになったおーのさん。
でも・・・さっき告白していたおーのさんもおーのさんらしくて。
なんだかもう・・・現実と演技がまぜこぜになってくる///。
「ぁ。褒めてると言えば。」
「・・ん?」
「おーのさんの告白シーンね。すごく・・・ぐっときた。」
「・・・そう///?」
「ぅん。ちょっと泣いちゃったし。」
「・・・まじで・・・?」
「ぅん・・・カメラに映ってるかどうかわかんないけど///。」
「映っててほしいな・・・。」
「どうだろ。雨と同化してるかも・・・///。」
「あ~・・・雨か・・・。」
残念そうに・・・うらめしそうに。
空を見上げるおーのさん。
首のところが・・・まだ濡れていて。
だから・・・そっと。
僕のタオルで・・・抑えるようにして・・・滴をぬぐった。
互いに饒舌。
おしゃべりが止まらない。
まるでやっと会えた二人みたい。
話したいことがたくさんある。
「なんかね。演技だってわかってるけど。」
「・・・?」
「あんなおーのさん見ると。ちょっとリアルとごっちゃになっちゃう///。」
「・・・。」
「・・・おーのさんは?なる?リアルとごっちゃに。」
「・・・。」
「・・・?」
「・・・なる・・・よ。俺も・・・。リアルと。・・・ごっちゃに。」
「ホント?」
「ん。・・・今日の告白だって・・・昨日の撮影だって俺は・・・。」
「え?」
「いや・・・なんでもない。・・・ごっちゃになるよね。リアルと。」
ふわっと。
僕を見て笑うおーのさんが。
なんだか・・・とても優しくて。
すごく甘やかされている様な感覚になって。
ちょっと・・・嬉しくて。
ニヤって・・・口元がほころんじゃった///。
それにしても。
おーのさんも。
リアルとごっちゃになるという。
役柄に引っ張られるというよりも。
リアルとごっちゃになる・・・という感覚になるみたい。
なんだろう・・・これ。
すごく不思議なんだけど。
どっちがリアルでどっちが撮影か。
ホント・・・ごっちゃになる。
あ・・・。
いいこと思いついた。
だったら。
ごっちゃになったついでに。
ちょっとおもしろいことしたい・・・かも///。
監督もスタッフさんも・・・今のシーンを見ながら・・・ちょっとため息ついているし。
ぁ・・・ため息と言っても。
いい方のため息ね。
これなら・・・うん。
面白いことできるかも。
ちょっと今ひらめいちゃったし///。
もちろん・・・それにはおーのさんの協力が必要で。
だから。
僕は・・・すぐおーのさんに話そうと思ったんだけど。
「ねぇ。」
「・・・ん?」
「・・・。」
「・・・?」
「ううん・・・なんでもない。」
「・・・?」
「なんでもないってば///。」
「・・・?」
「いいの!これから一緒にくらすんだよね・・・って。そう思っただけ///!」
「・・・///改めて言われると緊張するよ///。」
「///そう?」
「ん///。」
そう。
今日このまま二人で住むマンションに行くし。
その時に話せばいいか・・・と。
そう決めて。
そして・・・監督のOKの声とともに・・・待機場所へと駆け足で向かった。
おーのさんと。
一つの傘で・・・一緒に走りながら///。
.
つづく