大宮さんの恋物語です。
毎日20時更新予定です。
ではでは・・・どぞ・・・。
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Side.O
マネージャーに。
「帰らないんですか?」と言われ。
「ぅん。ちょっと・・・。」と言葉を濁す。
「本番いきます!」というスタッフさんの声で。
その場にいるほぼ全員が動きを止める。
そして。
スタートの声で・・・走りだすニノ。
通行人とぶつかりそうになる演技は。
おおげさでもなく・・・かといってひそやかでもなく。
本当にぶつかりそうになって避けているように見えた。
さっそうと・・・走る姿もまた美しくて。
風になびいた黒髪が。
前後に振られた腕が。
蹴りあげられた足が。
すべてしなやかにニノを魅せる。
走る姿一つとっても。
ニノはきれいだ。
さっきの。
キス未遂のシーン。
ニノは・・・どう思ったんだろう。
いや。
さっきのニノの俺への態度を見るに。
多分どうとも思ってないだろう。
ニノにしてみればきっと。
ただの演技。
これまで何度もしてきた演技のうちの一つなんだろう。
スタートとカットの間の。
架空の・・・バーチャルなリアル。
それをただ・・・演じただけで。
俺のように。
現実とごっちゃになんてならないんだろうな・・・と。
ニノを見ていて思った。
走り終えて。
向こうで待機しているニノ。
俺のすぐそばで監督が。
つながりを見る為か・・・ついさっきのキス未遂のシーンを見ている。
二人のシルエット。
想像以上に上手く撮れている。
バックが明るい分・・・シルエットが濃くて。
まったく表情は映っていないのに。
なんだか切羽詰まった感じが見える。
寄りの映像では。
ニノの顎のラインと細い首が特に目立ち。
ちゃんと見つめ合っているのもわかるし。
ニノの唇が・・・ぽわんと開いたのもわかった。
まるで・・・吐息すら見えるようだ。
ホント・・・こういうの。
監督もそうだけどカメラさんもすごいよな・・・って。
現場で即座に対応する能力に・・・感嘆した。
「OKですー。」
「これで本日の撮影終了です!ありがとうございました!」
スタッフさんの声で。
お疲れさまでしたーの声が舞い片付けが始まる。
俺に走り寄ってきたニノ。
って言うか・・・ここで見ていたの。
ばれていたのか///。
「あなたほどじゃないけど・・・。」
「・・・え?」
「どう?僕の走る姿。」
「・・・ぁ・・・よかった・・・よ。」
「ホント?」
「ホント///。」
「ンフ・・・真似たのよ。前におーのさんが走った姿を。」
「・・・え。マジで・・・?」
「マジで。かっこよかったから・・・あなたの走り方。」
「・・・///。」
「足を前に出すというよりも・・・こう。後ろに蹴るのよね。」
「・・・。」
「どう?よく見てるでしょ。」
ドヤ顔で。
俺を見つめるニノが・・・かわいくてたまらない。
褒めて・・・と。
顔に書いてある///。
「・・・ん・・・///そうだね。よく見てるね。」
「フフ・・・///ぁ。で。わかった?僕が食べたいラーメン。」
「・・・ぁ・・・///。えっと・・・・・・・・・あ。担々麺・・・とか?」
「・・・うそ。なんでわかったの・・・?」
「ヤ・・・なんとなく///。」
「フフ・・・さっすがぁ♪・・・じゃあね・・・おーのさん。ラーメン食べて帰るから///僕。」
「・・・ん。お疲れさま。」
嬉しそうに。
スキップ?みたいなのしながら帰るニノ。
でも・・・マネージャーさんと話し始めると。
とたんに拗ねたような顔つきになった。
どうやら・・・帰り際のラーメンを止められているようだった///。
今日はもう遅いし。
明日は早いからな・・・と思いつつ。
でもちょっとかわいそうだな・・・なんて思った。
それにしても。
何気なく言ったラーメンが当たっていた嬉しさ。
俺も。
担々麺・・・食べたくなっちゃったな。
帰りに。
どこかで・・・食べて帰ろうか。
そんなこと思いながら。
マネージャーと一緒に・・・撮影現場を後にした。
.
つづく
明日から告白シーンの撮影になります///。