大宮さんの恋物語です。
毎日20時更新予定です。
ではでは・・・どぞ・・・。
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Side.N
クランクインから数日が経った。
互いにレギュラー番組なんかもあるから。
僕だけの撮影日とかおーのさんだけの撮影日とかあって。
今日は2日ぶりに二人での撮影だった。
監督と話をしているおーのさん。
相変わらず。
少しだけ・・・口がとがっている。
気づいているのかな・・・あの人。
集中すると口がとがるって・・・///。
今日の撮影は。
2シーン。
まず一つ目・・・残業しているおーのさんを見つけた僕が。
手伝うってシーン。
今までは・・・おーのさんから見た僕だったけど。
今回初めて僕から見たおーのさんを撮ることになる。
監督からの指示では。
まだ恋心はなし。
でも人として好意は持っている感じで・・・って言われている。
それを踏まえての撮影が始まる。
今日は・・・ある意味受け身のおーのさん。
少しだけ気楽そうな顔してて。
この間と比べると全然顔の締まり方が違う///。
スタッフさんとのおしゃべりに・・・目尻がいつもより下がっていて。
なんかもう・・ね。
ホント・・・わかりやすいなって思う///。
撮影が始まる。
設定は。
もう会社も終わった時間・・・ほとんどの人が帰った社内で。
休憩室へ行く途中の僕が。
まだ残っているおーのさんを見つけるシーン。
動線の確認後・・・すぐに本番。
セリフはなし。
歩いてきた僕は。
パソコンを見つめたまま頬杖をついているおーのさんに気づき歩みを止め。
しばらく見つめ。
そのまま壁の時計を見て。
19:10を確認して・・・その場を離れた。
そこでカット。
なんなくOK。
ちなみにおーのさんは頬杖ついてただ座っているだけ///。
何もしないままにシーンが終わり。
カットがかかった今も。
ただじっと同じ格好でおとなしく座ってる。
なんかもう・・・全然動かなくてお地蔵さんみたいで。
見ていて・・・つい笑っちゃう///。
周りではスタッフさんがイソイソと動いているのに。
おーのさんは微動だにしなくて・・・。
そこだけ時間の流れが止まってる感じだった。
映画の流れ的には。
その後に僕一人が休憩室で座っているシーンが流れるんだけど。
そのシーンは昨日撮影済で。
だから今日はもう・・・その次のシーン。
休憩室から帰る時にまたおーのさんを見つけたってところを撮る。
場面転換もないから・・・すぐに撮影開始。
さっきとは逆の方向・・・休憩室から戻ってくる僕が・・・またおーのさんを見るシーン。
さっきとまったく同じ格好の・・・お地蔵さんのようなおーのさん。
時計を見ると・・・19:40。
約30分も同じ格好でいたことになる・・・という設定。
僕は・・・クス・・・と笑い。
おーのさんのデスクへと近づいた。
そこでカットがかかった。
って言うか・・・突然気づく。
もしかしたらおーのさん。
まったく同じ姿勢を保つために。
さっきから微動だにしなかったのかもしれない。
じっと・・・ただじっと。
カメラが回ってない時も。
映画の役柄の人になり切っていたのかも。
・・・。
・・・。
監督のOKの声を聞き。
イスの背もたれに寄りかかり・・・足を投げ出したおーのさん。
同じ姿勢でいたから疲れたのかな。
首をくるくる回している。
僕は・・・そんなおーのさんに声をかけた。
「おーのさん。もしかして。」
「・・・ん?」
「同じ格好しているために今。動かなったの?全然。」
「・・・ぁ・・・ぅん。まあね///。」
「へぇ・・・すごい。」
「いや俺///わかんなくなっちゃうから。動いちゃうと。」
「つながり・・・的な?」
「そうそう。俺このシーンでは受け身だから。演技しているニノのためにもNG出すわけにいかないし。」
「・・・。」
「じっとしてるのは得意だから。」
「なんか///おーのさんらしいね。そういうとこ。」
「・・・?」
「褒めてるのよ///?」
「・・・そう・・・なの///?」
「そうよ?」
言いながら。
すっと・・・肩に手を触れ。
きゅっきゅっと・・・揉むと。
ん~気持ちいい・・・と目を閉じたおーのさん。
くん・・・とそらされた喉に。
浮き出る血管と喉ぼとけが見えて。
突然。
ああ・・・なんか。
自分よりも年上の。
大人の男だな・・・と感じる。
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つづく