大宮さんの恋物語です。
毎日20時更新予定です。
ではでは・・・どぞ・・・。
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Side.O
クランクインの日。
いつにもまして・・・緊張している俺。
通常でも。
演技仕事のクランクインは緊張で。
初めまして・・・があまり得意ではない俺はソワソワしてしまい。
落ち着かないことが多いのに。
今回の仕事は・・・あのニノと一緒で。
さらには。
そのニノと恋愛する役柄なんだから。
緊張しないはずがなかった。
「主演の大野智さんでーす!」
「よろしくお願いします。」
紹介され。
あちこちにお辞儀をする。
みんなが拍手をしながら俺を見てるのが若干照れくさくて。
ホントいつもこの瞬間は落ち着かない。
正直居心地が悪い。
・・・なのに。
「もうお一人。W主演の二宮和也さんでーす!」
「よろしくお願いしまーす!がんばりまぁすっ♪」
ちょっと小首を傾げ。
胸の前で小さくガッツポーズを作る姿に。
ハハ・・・と笑いがおき。
盛大な拍手が巻き起こる。
一瞬で。
全部持って行く感じ。
なんか。
こういうとこも。
すごいなって。
ニノってホントすごいなって思う。
今日の撮影は2つのシーン。
ニノとの出会い。
1度目と2度目。
まずは1度目。
ニノと俺は同じ会社。
俺は地方から来た異動組。
ニノは本社組。
初めての出会いは・・・会社の宅配ルーム。
IDカードを忘れた俺が。
宅配ルームに入れなくて困っているところに。
ニノがやってきて開けてくれる・・・というシーン。
このシーンで俺は。
初めて会うニノに。
きゅんとする演技を指示されていた。
それも。
コミカルではなくて・・・ひそやかなきゅんを求められている。
なかなか難しいシーンで。
特に最初の出会いだから・・・場面としてもとても重要だった。
映画の方向性が決まるシーン。
ここの俺の演技で。
見ている人の映画の印象が決まる。
ちょっと大げさな・・・いわゆる顔芸的な方が・・・俺はやりやすいんだけど。
今求められているのはそれじゃない。
何度も何度も深呼吸をして。
照れを封じ込める。
心を白紙に・・・フラットに持っていく。
ニノとは初対面だという演技に集中する。
何度かされるリハ。
2人の立ち位置やカメラワークを確認される・・・けど。
ふと・・・気づく。
リハの間ずっとニノが。
俺を全然見なくて。
っていうか・・・不自然なくらい俺と目を合わせない。
すっと。
俺と距離を取っている様な・・・そんな感じで。
本番始まる直前なのに俺と離れている。
会話はするし・・・無視されているって感じではないんだけど。
いつもみたいに会話が弾まない。
でもスタッフさんとは話をしていて・・・。
もしかしてニノなりに・・・スタッフさんと近づこうと思っているのかもしれないんだけど。
それにしても。
なんか。
・・・。
・・・。
すこしだけ・・・ザワつく心。
居心地の悪さ。
ほぼほぼ会話のない俺とニノ。
避けられているのか・・・と感じるほどで。
気づけば・・・俺は。
ニノを・・・ずっと目で追っていた。
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つづく